第83話~誓いの挑戦状!!~

「――ほら、皆の所へ行きましょ!剣君勝ったんだもん!!」

 みのりは呆然としている剣を立たせて控え室へ案内しようとした。


「あ、あぁ……」

 剣は勝ったことに実感が沸かなかった。


 あれだけ必死で戦い抜いたゲームが呆気ない結末で終わったから。また烏田や戦いに巻き込まれたプレイヤー達を思うと、内心喜べなかった。


 2人が控え室に戻ろうとすると……



「――剣!!」



 通路の奥で誰かの声が聞こえた。先程まで試合を観覧していた立海銃司が待ち伏せていた。


「お前は……銃司!?何でお前がこんな所にいんだよ!!?」


「……そんな事はどうでもいい。お前に話がある」


「は?俺に何の用があるんだよ。ボロボロの俺を笑いに来たのか?」


「違う!!!――まぁその、何だ、貴様の『アルティメット・スピード』……心を揺さぶられた!!俺はお前を見くびっていたようだ」


「……はい???」


 剣はいきなりの事で目を丸くした。こんな場面で銃司に評価されるとは思わなかったからだ。


(ホント、素直じゃないわね……)

 隣のみのりもクスクスと笑みを浮かべた。


「あの土壇場で貴様はPASを覚醒させた。更にはあの剣!何という輝きかその神々しさ!!

 ――そしてその実力はだった!!!よくぞなまくら刀の心を、聖剣の如くここまで磨きあげてくれたものだ!!!!気に入った!!!!!」


「……あのさ、一人芝居は良いから。お前は俺に何をさせたいの?」


 剣が冷静に突っ込む。銃司は咳払いをして話を切り替えした。


「―――つまりだ、貴様は俺のとなった!

 次は俺の番だ、貴様にゲームを申し込ませて貰う!!拒否は許さん!!!」


(……お前――!!)


 好敵手、つまり【ライバル』【として剣を認めた銃司。

 命懸けでゲームに挑み、心も体も傷付いた剣には予測もしなかったサプライズであった。


「――貴様には俺に対峙するプレイヤーとして敬意を払ってやろう。存分に俺を楽しませてくれ……!!」


 銃司は高圧的ながらも右手を差し出し、握手を求めた。


 それに対し剣の答えは……


「……俺さ、ゲームに挑もうとした時から決めてたんだよ。

 銃司が俺の好敵手ライバルだって。お前から来るとは都合が良すぎるぜ!」


 剣は不敵な笑みを浮かべながら、銃司に近づき前に拳を銃司に向けた。



「――握手なんて俺の柄に合わねぇ!ライバルならこいつで語ろうや!!」



 銃司は向けられた拳と剣を見上げ、ニヤリと笑いながら……


「……見事だッッ!!!!」


 剣の拳と己の拳をガツンとぶつけ合った。



「これで貴様は俺の好敵手ライバルとなった!!だが満身創痍な今の貴様では相手にならん。――どうだ、ここは1つを立てないか?」

「……誓い?」


 銃司は剣の拳を触れたまま提案に持ち込んだ。



「……この世界に【バスター・キャッスル】という城がある、俺の城だ。

 時間は取らない、貴様の十分な力付けてそこに来い。お前と戦える日を楽しみにしてるぞ――!!」


「……あぁ、望むところだ!!!」


 この日死闘の夜明けに2人のプレイヤーが誓いを立てた。お互いにライバルとして認めあい、力の限り戦う事を!


 剣達と銃司はその後すれ違いながらその誓いを胸に控え室の通路を去っていった。



 そして――!!

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