第63話~プレイヤー爆破指令!!~
ゲームワールドで突如起きた爆発、それは丁度Φブロックで剣が第1回戦を終えた直後に会場内で起きた。
「な、なんだ一体!!?」
「え、演出なのか?」
「それにしてはマジな爆発だったぞ!?」
控え室やそれぞれのブロックの会場にもこの爆発音を聞こえ、プレイヤー達は動揺を隠せなかった。
爆発が起きた場所はデュエルフィールドの入り口付近、幸いにも被害を受けたものは居なかった。
そして、Φブロックでの剣達も……
◇◇◇
「――おい、大丈夫か!?モブ」
「大丈夫。てかモブじゃねぇし、戸塚だし」
Φブロックには何も被害が無かった。しかし剣には既に検討が付いていた。
(あいつら……ここまで墜ちやがったか!!)
そして会場内で半ばパニックに陥るなか、ノイズを立ててアナウンスが流れた。
しかしそれはボイスチェンジャーを使ったような不気味な声だった。
『――ゲームに現を抜かす愚かなプレイヤー共に告ぐ、G-1グランプリ予選は我々ブラックヘロンが占領した!!お前達に最早逃げ場はない手駒の状態だ!!』
会場のモニターにはブラックヘロンの称号、黒い
『今の爆発はほんの挨拶代わりだ。この会場の中には数多くのの爆弾がセットされている。
それは試合で地雷を踏んだ時点でランダムに爆発する、止めれるものなら止めてみるがいい!死ぬ覚悟が出来るものならな――!!』
高らかに笑いを浮かべながらアナウンスは切られた。それに拍車をかけるようにプレイヤー達にも焦りが募ってきた。
「じょ、冗談じゃねぇよ!!!」
「こんなところで死にたくない!!」
「早くゲームワールドから出るぞ!!!」
1人のプレイヤーがデュエルフィールドの入り口の転送ゲートへ向かい、現実世界へ逃げようとするが…
「あれ――?反応しない!?」
転送ゲートが作動しない。それは他のゲートやプレイギアからも同じく反応しない。
ゲームワールドと現実世界を繋げる要の転送装置、『トランスホール』に細工をされていたのだ。
「閉じ込められた…俺達――!!!!」
青ざめたプレイヤーの一声が更に他のプレイヤーの不安を煽り立てた。
最早会場内は恐怖、混乱で覆い尽くされた。
騒ぎ立てるプレイヤー達をブラックヘロンの同胞が黙らせ、束縛させる。まさにテロリスト集団の独裁情勢に入った。
「いい加減にしろ!!プレイヤーに被害を出させて、只で済むと思うなテロリストめ!!!」
代表取締役社長の外崎も総本部にてボスに抗いたてる。
しかし、ボスは言い放った。
「社長さんには1つ教えてやろう。
力無き者の遠吠えなど………悪にも劣るッッ!!!!」
◇◇◇
悪がのさばる今のゲームワールドに、シャッフル・オールスターズは――?
「どうするのよ!?このまま好き勝手されたらたまったもんじゃないわ!!!」
レミが思惑通りに焦りたてるなか、槍一郎はこの状況でも冷静だった。
「落ち着けレミ!いずれテロリストらしく大きく出るとは思ったが、意外と早かったな……あった、これだ!!!」
槍一郎はブラックヘロンから奪い取ったパソコンからある装置の設計図をファイルデータから表示した。
「何や?こいつは」
「小型のプラスチック爆弾の設計図のようだ。あのマインスイーパと連動して爆破されるようにセットされている。
それとご丁寧に……起爆解除のやり方もここに乗っているぞ!」
槍一郎の常に冷静なインテリジェンスが危機回避に役立つ時が来たようだ。
「でも、でも!肝心の場所が分からないと意味無いじゃない!!」
せっかちするなレミよ。ちゃんと槍一郎はそこも検討しているのだ。
「そういう事。パソコンに爆弾の配置場所もちゃんとデータに残っていたよ!」
槍一郎はメンバーに爆弾の設置されている地図を見せた。デュエルフィールド内に辺り一面爆弾のチェックが埋め尽くされている。
「これは……!」
「殺る気満々ね……」
レミと豪樹は唾を呑むように危険を感知した。
「だからこそ、止めるしかない!!
――剣と合流したら直ぐに伝えてくれ!あとみのりちゃんにも!!1人も犠牲者を出させないぞ!!!」
かくして試合と爆弾処理、2つのマインスイーパの幕が上がった。
◇◇◇
一方ではみのりのΩ《オメガ》ブロックの試合が進められていた。先程の爆破よりもゲームに集中している様子だ。
みのり優勢!そして丁度相手のターンで地雷処理をしているところだ。
「……ダメだ限界ッ!!」
相手のお手上げ宣言で地雷が踏まれた。
ドカァァァァァァァァァァァァン!!!
「きゃっ!??」
勝利したみのりが突然の爆発に驚いた。一瞬演出の1つなのかと思っていたが、それは本物の爆発であると直ぐに気づいた。
爆発地点はΩブロック会場の照明、天井に火花を散らしてその破片が降り注いだ。そして一瞬のうちに会場内はパニックに陥った。
「何よこれ――!?」
みのりもようやく事の重大さに気づいた。
Ωブロック1回戦を終えて、みのりは控え室へ戻ると、混乱覚めやまない状況の中で剣と合流した。
「――あ!剣君!!さっき急に爆発が起きて、一体何が起きたの?」
「俺も槍ちゃん達から聞いたんだ。ブラックヘロンの奴ら、本格的にテロ行動に出始めた!あいつらに完全に包囲されて逃げられないんだ!!」
「そんな!!私達はどうなっちゃうの!?」
「……みのり落ち着いて良く聞け、今槍ちゃん達で仕掛けた爆弾を処理してるんだ。
爆弾の場所と処理の仕方も分かってる。それに奴ら本部を服従してそのまま予選は続行させるようだ。
爆弾の事は俺達に任せろ、だからみのりは今のゲームだけ集中してくれ!!」
「でも……」
「心配するな!誰も傷付けさせるもんか!!それに……
俺はみのりの頑張ってる姿を、誰よりも守りたい!!!」
「――!!」
「せっかくの俺達の晴れ舞台だ。リーダーである俺がメンバーの応援をしてあげなきゃ嘘だぜ!
――だから、頑張ってこい!!一緒に予選を突破しよう!!!」
剣の鼓舞にみのりの不安は吹っ切れた。何よりも剣から応援される事がみのりにとって一番の勇気を与えてくれた。
「……分かった!私、頑張る!!だから剣君も怪我しないでね!!!」
「任せとけって!!」
互いの無事を祈りつつ、二人は別れ、それぞれの『闘い』へ赴く。
――予想不可能の地獄に抗え、戦士達よ!!!
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