第62話~緊迫のスイープルーレット~

 変わってここはΦブロック会場。

 第1回戦にゲーム会場に立つ剣、そしてブラックヘロンとは全く関係ないとの試合だ。こんな展開もあって良いでしょ?


 会場のフィールドは100マスのパネルが床に並び、その上ではフィールドを操作する為の2つのコントロールパネル席が、正面に向き合っている。


 剣と対戦相手は高台にあるコントロールパネルを後ろの階段で掛けあがって、ゲームの準備を進めた。



『――冷静沈着の超巨大ゲーム空間に熱気あふるる夏の熱風が交錯しております。そして、プレイヤー達の汗の熱も漂っております!


 この5thSTAGE、無機質なエリアに漂う危険な香りはプレイヤーの熱反応によって地雷の餌食になるのでしょうか?はたまた砂塵にまみれて生き残るのはどのプレイヤーになるのでしょうか!?

 さぁ今回の予選の注目株、初出場は桐山剣(16)からの挑戦であります!!!』


 こんな長台詞が通用するのは新垣治郎実況において他にいない。そしてこれに拍車をかけるように剣に盛大な声援が送られた。



 このゲームではトーナメントに進めば進むほど仕掛けられた地雷の数と思考時間が短くなる。まず1回戦は100マス中5個の地雷、1/20の確率だ。――思考時間は1分。



「……よし行くぞ!かかってこい!!」


 剣もやる気満々、覚悟は決まった!!


『READY、スタート!!』

 開始アナウンスからスタートのブザーが鳴る。


 ――先行はモブから。


「……あのー、モブじゃなくて僕にもつー名前があるんですけど」


 失礼しました。


 その戸塚から先攻、次の瞬間フィールドからま真ん中の壁にある巨大な『スイープルーレット』が回り出す!


 戸塚のコントロールパネルの真ん中の赤いボタンがストップの合図だ。


 止まったルーレットが指すのは数字の『3』、つまりパネルを3枚潰さなければいけない。


 戸塚はランダムにパネルを潰す。潰した後が何も無い場合には地雷も近くに無いということ。


 そしてもう1つ潰したパネルに『1』と書いていたら、周辺に地雷が1ヶ所隠れているということ。マインスイーパの基本だ。


 戸塚はセーフ。そして次は剣のターンだ。


 剣のスイープルーレット!出たのは……

 数字の『7』!!


「げっ!マジかよ……」


 剣も思わずびっくりした。7つパネルを潰さなければいけない。ただ闇雲に潰したら地雷に当たるかも分からない。


 そこで剣はさっき『1』のパネルが出た周辺から攻めた。


(1/20の確率とはいえ連続で地雷が出ることは無いだろうが、1つ片付けとこう)


 多少無謀な行為だが、時間も限られているので躊躇は出来ない。


 剣は『1』のパネルの周辺を更に1マス離して攻めた。ここでは数は書かれていないハズレだ。しかし周りをしらみつぶしに調べると7つ目で出た。別の『1』が!


(こいつは……ここらか?)

 剣は心理する。そして真相をうやもやにしターン終了した。


 さらにゲームは続く。先程の『1』の付近での読み合いが一旦パスされ、他の地雷がスレスレに明らかになる頃。70マスのパネルが潰れた所で剣のターン。


(そろそろ片付けなきゃな)


 最初のターンであの『1』を2つ残してそのままにしたのを手を出そうとする剣。


 その前にスイープルーレット、ストップ!


「これは!!」

 出ました、逆転の『チャンスゾーン』!!


 その内容は『マイン・マーキング』!

 9マス分の周辺を透視で照らし出し、地雷のあるマスを旗マークで明らかにすることが出来る!!


(よし、じゃあの周辺に――!)

 2つの『1』のマスに照らし出した!


『1』を真ん中にし右上に地雷確認、旗マークが見つかった!!


「ここだったか!!」

 無謀に行ってたら即やられていた!剣の頭に危機回避の安堵感がよぎった。



 そして戸塚のターン!スイープルーレット!!


 ――数字の『10』!!!


「……あ、これ僕終わる展開やん」


 その通り。



 一応戸塚は粘った。しかし、10のパネル処理とプレッシャーでは1分では持たずに焦りが募り、とうとう――!!!



 ――――ドォォォォォン!!!



 地雷を踏んだ戸塚、残りマス24枚を残して桐山剣が第2回戦進出!!


「ふぅ~緊張したぜ――」


 張り詰めた空気に緊張した剣が安堵の表情をみせた、次の瞬間――――!!!



 ドカァァァァァァァァァァァァァン!!!!!!



「……………………へ???」


 剣は一体何が起きたのか分からず混乱した。


 会場の何処かで演出ではなく、が見えた――!!

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