第58話~格闘王の男意気~

 予選3rdSTAGE『テトリス・サバイバー』はNo.1はシャッフルオールスターズの畠田レミに軍配が上がった。


 丁度同じ頃、デュエルフィールドの管理室にて剣、槍一郎、豪樹、みのりがいた。


 先程のゲームで遠方ハッキングをしていたブラックヘロンの工作班をボコボコにしたところだった。


「剣君、また何か書いてる」


 のびてる工作班の胸元に剣が紙とペンで書いた文章を張り付けていた。


「レミがやられたんだ、これくらいしてやんないと気が収まんねぇ!!」

 剣は心底頭にきながら話した。


 文章にはこう書かれている。


 ≪カンニングインテリ野郎のパソコン、USBは頂いたぜ!Ha-ha!!≫


 なんか矢沢◯吉の曲みたい。


「アイツらの悔しがる姿を見てやりたいもんだ!ザマァみろ!!」


「結構サディストやな、お前……」


 豪樹が若干引いているのは気のせいだろうか。


「そんな事より、ブラックヘロンの奴らがここで本性を出したみたいだ。あの様子を見てると本気でプレイヤーをとしてる。

 犠牲者が出ないうちに片付けないと、取り返しが付かなくなりそうだ……!!」



 槍一郎は先程のゲームでの電流地獄を見て危惧をしていた。

 これ以上悪事がエスカレートしたら今度は死傷者も出かねない。しかしそれでもG-1グランプリは中止に出来ない、そんな状況下でもある。


「だからこそ、俺達がやるしかねぇだろ!ここで抗わなきゃ誰がやるんだ!!」


「…………」


 1つの感情の奢りが命取り、それを承知で立ち向かう剣と、ただ無言で見守るみのり。

 波乱間違いなしの予選でそれぞれの心情が何を語るのか。


 ◇◇◇


 そして会場では次のゲームの準備が始まった。


 電脳の回路が飛び交った3rdSTAGEから一転、荒れ果てた荒野がフィールド一面に広がった。


 そしてその外側には100席の巨大な格ゲーパッドで包囲されていた。



 ――さぁお待たせしました。新垣治郎実況のアナウンスで次のゲーム紹介だ!



『時はゲーム世紀末!今や時代は力でねじ伏せる事に頂点を成す時代になってしまったのか!?力が全てと言う奴に、決めろ必殺スーパーコマンド!!

 4th(フォース)STAGE(ステージ)・マッチレス・ブローラーズ!!!!』



 ☆☆☆


 PLAY GAME No.14

 ★G-1グランプリ予選 4th《フォース》 STAGE《ステージ》★

【MATCHLESS BRAWLERS ―マッチレス・ブローラーズ―】

 ・ジャンル『ファイティングゲーム』

 ・プレイヤーレベル:33


 ルール

 各ブロック100人で壮大な荒野フィールドを舞台に乱闘し、その中で生き残った一人がNo.1となる『オープンワールド型格闘サバイバルゲーム』。


 このゲームの特徴はレバー型スティックと強・中・弱パンチ/キックの6つのボタンから繰り出す無数ので編み出す必殺技の多さにある。


 今回は大会式に乗っとり操作するキャラクターの格差は無し。

 代わりに全員が100通り以上のコマンド技を出せる為、その技から編み出すコンボや戦略が勝利の鍵を握る。

 体力ゲージ制で自分の体力が0になった時点でゲームリタイアとなる。



 獲得ポイントは各ブロックにて

 ・50位~31位 10ポイント

 ・30位~11位 20ポイント

 ・10位~6位 30ポイント

 ・5位、4位で50ポイント

 ・3位 60ポイント

 ・2位 80ポイント

 ・No.1プレイヤー 100ポイント


 ☆☆☆


 4thSTAGEは格闘ゲーム。

 やっと『紫煙の鉄拳王』の肩書きを持つ豪樹の得意ゲームが登場した。


「やっと、ワイの出番やな!腕が鳴るでぇ!!」


 豪樹は相当見せ場を見せたかったようだ。あれだけ待たせたんだ、一人一人の見せ場は作ってあげないと。


「豪樹さん、あたしの分まで頑張ってよ~……」


 3rdSTAGEの激闘の後で合流したレミ。電流で全身ボロボロになり、満身創痍な状態だった。


「レミちゃん、あんまり無茶しちゃダメよ!」


「そうだ、普通だったら死んでる程電流浴びてるんだぞお前!ポイントも相当貯まってるんだ、ここは休んだ方が良い」


「大丈夫、大丈夫!あたしなりにマイペースにゲームやってるから、あはは……」


 みのりや槍一郎が心配する中でも、無理強いしてでもゲームに挑もうとするレミ。

 笑っているがかなり無理はしているようだった。


「……いや!俺も皆に同感だ。このゲームだけでも休んどけ、またブラックヘロンがちょっかい出される前にまた俺がぶっ飛ばして……」



「――そこまでや、剣。お前一人ででしゃばるもんやない」


  「……豪樹さん――?」


「ここからはワイ一人に任せてくれへんか?お前らにはチームとしての使命を果たして貰わなアカン。

 誰一人とも犠牲を出さずに、G-1グランプリ予選を全員で突破するって使命をな!

 だからこそ、レミちゃんには充分に休んで貰わんと!!」


「わ、分かりました……」

 レミの空元気も豪樹の一声で冷静になったようだった。


「でも大丈夫なんですか?豪樹さん一人で」


 頼もしい豪樹と言えども、一人だけではドSの剣も流石に心配になる。


「誰がドSやオイ」


「要らん心配やで、ワイかてオールスターの一人なんやし。それにワイも大事なを傷つけられたんや。

 ――あのクソガキ共に焼き入れたらんとな……!!!」


 おおらかが取り柄の豪樹が、内心ぶちギレている事にみのりは気付いた。


「あ。これもっとヤバイことになりそうかも……」


 ――果たしてどうなる事やら、格闘王・豪樹の奮闘や如何に!?

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