第52話~マザーボイジャーを撃破せよ!!~
――剣の戦闘機、出陣!!
16bitの電子音が出撃のファンファーレか!威風堂々と進んでいく!!
先程の豪樹のプレイに一歩応用を利かせるように格段と素早く移動し、極め細やかな足踏みで連射も途切れなく敵を撃ち払った。
下にそびえ立つ空砲台、施設もカーソルを合わせてジャンプ。流れるようにスムーズに、そして正確に撃退した。
騎士が切っ先で正面の敵を剣で突き刺すかのように、無駄のない攻撃だ!!
(――あ、そーいえばこのフィールドに隠れた敵がいるってルールに書いてあったな)
敵襲の隙を掻い潜って、剣は投下型ミサイルを出すためにジャンプしながら隠れキャラを探した。
すると空砲台の間に不自然な空白を見つけた剣は不審に思い、ミサイル攻撃をすると……
「――あ!何か出た!!」
爆撃音の後に出てきたエンブレムのような物が出た後電子音が鳴り響く。
『シークレットポイント』を見つけた剣の得点が一気に5000点加算された!
「よっしゃ、儲け儲けッ!」
ハイスコアの勝負となると、どうしても得点にがめつくなってしまう。
これもプレイヤーの性だが、欲張りすぎるとミスに繋がりやすい。しかしこの後も剣はミスすることなく順調に進んでいった。
「シューティングは敵機との適度な距離を作って撃つのがセオリーだ。恋愛と一緒だな」
オイ、お前に恋愛を語れるほどモテた事あんのかよ剣!?
「うっさいな、モテてたらとっくに友達出来てるわアホ!」
……話を戻そう。
エリアの途中には中ボスらしき要塞も待ち構えて剣に襲い掛かるが、豪樹のプレイで既に把握済みの剣の敵ではない。
順調に進んでいき、いよいよ到達エリアは70%を越えた!!
そして―――!!
「ッ!?」
突然ゴゴゴゴゴゴと重い地響きのような音が鳴ると同時に、上からとてつもない何かが出現した!
「……おいマジかよ、こいつが――!?」
剣の前に現れた巨大母艦、『マザーボイジャー』の出現と同時に弾幕の如く光弾を撃ち続ける!!
――――ボカァァァァァァン!!
母艦の前にシャレをかまされたかのように剣の戦闘機が爆撃された。
(さりげなく冗談言ってる場合じゃねぇよ、これは集中しなきゃアカンな……)
剣は気を取り直して2機目をスタートさせた。
各エリアのボス機にやられるとそのエリアの最初からスタートされる。
先程のマザーボイジャーは中盤辺りに出たため、さほど痛手ではない。
もう一度マザーボイジャーの元にたどり着いた。
(前に槍ちゃんと『ゼビウス・フューチャー』をやってたから、このシステムは大体慣れてるけど、今回は俺一人でこの戦闘機を動かしている。
……だから機動力も瞬発力も、全て俺の力量に掛かっている――!!!)
星屑の如く飛び散るマザーボイジャーの光弾サーカス、掻い潜って接近させるには弾の動きを見極めて慎重に接近するしかない。
問題はマザーボイジャーの弱点、中央のエネルギーコアをどうやって仕留めるか。
撃破する方法はジャンプ一発、天からの施し対地上攻撃のみ!
しかし剣は1回目のプレイで直ぐ様学習していた。マザーボイジャーが撃ち続ける光弾は常に戦闘機を目掛けている。
光弾はゆっくりと直線で向かってくるため剣は左側に構え、光弾が来る前に誘導させて、直ぐ様逆の右側に向かって逃げてマザーボイジャーに近づいた。
しかしこの修羅場にターゲットのエネルギーコアがカーソルに定まらない!
急いで狙うも当たったのは光弾を撃つ機関砲、エネルギーコア周辺にある4つのうちの一つだ。
機関砲を壊した事で攻撃は若干弱まったが、四方八方周りを追い詰めた光弾で2機目も撃破されてしまった。
―――ボカァァァァァァン!!!
……もうえぇっちゅーねん。
(これで、残り一機……!!)
後が無くなった剣だがその顔は平然と冷静さを保っていた。
かつて
むしろ今回のこのゲームは、立海銃司へのリベンジを込めた思いも剣にはあった。
だからこそ中途半端はしたくない。
剣には真剣勝負がお似合いなのだ。
意を決して、ラスト3機目!!
「仕方ない、ここまで来たらコイツを使うしかない!!
――プレイヤースキル発動!!【精神統一】!!!」
G-1グランプリ予選では1ゲームに1回のみプレイヤースキルを発動する事を許されている。
最後の切り札として、剣は奥の手としてスキルを使った!!
◎プレイヤースキル◎
【精神統一】:このスキルを発動する時、精神を一点に研ぎ澄ます事で、プレイヤーの五感全てを最大限に高める事ができる。
剣の精神、一点集中!!
マザーボイジャーによる弾の嵐など、今の剣にとってはそよ風も同然。
マザーボイジャーに迫る!一気に近づき機関砲4ヵ所を破壊した!!そして―――!!
――――ドォォォォォォォン!!!!
――マザーボイジャーの爆発音が会場に響き渡った!!三度目の正直で撃破!!!
「ぃよっしゃあああああああ!!!!!」
剣の諦めない姿勢に会場も大いに盛り上がった。そして意気揚々と進んでいく剣。
だが―――――!!!
上から渦のように光弾の雨が、剣の前に降り注いだ!!!
「な、何だよこれ!?」
剣は一瞬戸惑ったが、少しずつ光弾を避けていった避けていった。――――しかし。
――プツン。
剣の精神力の何かが切れたかのように、剣の動きに変化が……
(ヤバい!【精神統一】の効果が切れた!!)
プレイヤースキルも無限ではない、制限時間も設けられているものもあるのだ。
その隙を突くかのように、次の追撃は扇形に幅広く光弾を撃ち放つ!!
「―――ッッ!!」
――――ドカァァァァァァン!!!!
『桐山剣、万事休すゥゥゥゥゥッッ!!!!
――最難関ゴッドマザーボイジャーを触れる間もなくその面前に敢然と打ちのめされたァァァ!!』
「『ゴッドマザーボイジャー』……?」
新垣治郎のアナウンスでハッとした剣はゲームオーバー画面を確認し、驚愕した。
先程のマザーボイジャーとは比べ物にならない程の超巨大母艦が、画面半分を埋め尽くしていた。
そのエネルギーコアは3つ付いている。これがこのゲームの真のボス、『ゴッドマザーボイジャー』だ。
「参った……すげぇわこのゲーム!」
強大なボスには破れたが、剣の気持ちは心なしか晴れ晴れしていた。
その健闘を称え、観客の人から総員で暖かな拍手が贈られた。
初見での挑戦でありながらも剣は全力を出しきった。それだけで十分であった。
桐山剣、記録162760点。162ポイントで2ndSTAGEは終了した。
さぁ、残るメンバーは3人。
仲間達の健闘や如何に――!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます