第51話~3次元体感シューティング!!~
G-1グランプリ関西予選1stSTAGE《ファーストステージ》を終えた剣は、直ぐ様みのり達シャッフル・オールスターズの居る控え室へ駆けつけた。
「―――あ!剣君帰って来た!!」
迎えた剣の表情は
「どうだった?大会ゲームでNo.1取った感想は」
「もう最高ッッ!!スゲェ気持ちいい!!!」
1stSTAGE『チャンバラ・ファイター』ではシャッフル・オールスターズは剣、槍一郎、豪樹の3人がNo.1を取っていた。
「――それで、俺が戦ってた間はアイツらの動きはどうだった?」
「それが全然だ。会場内の管理室にも異常は見られないって聞いたし、何より不審な人物らしきヤツも居ないって報告があった」
槍一郎だけではない、他のメンバーも「NO」と同じ答えが飛んできた。
「そうか。だが俺は良いものを手にいれたぜ!」
剣はゲーム終了後に拾った黒いマイクロチップらしきものを槍一郎に見せた。
「――そのマイクロチップは……?」
「あんときチャラ助野郎とチャンバラ勝負した時にアイツの竹刀に入ってたチップよ、胡散臭さ100%だ」
一見普通のマイクロチップだが見かけで判断されてはいけない。
『
「こ、このチップだ!!WGCでも問題になっていた『BH.Bat』……剣、これは大手柄だぞ!!」
「そんなに凄いチップなの?」
みのりも横からマイクロチップをチラ見した。
「凄いもなにも、ブラックヘロンの悪事の大根元がこのチップだ。
このチップがチート行為を起こしゲームバランスを大きく狂わせる。バグの塊《《》》みたいなものだ……」
「かぁ~聞いただけでも恐ろしいこっちゃ!!」
このチップ1つでオフィシャルの面目を潰したと分かればその心境も理解出来るだろう。
「だったら早く管理の人に渡さないと!」
レミは急かすように剣に促そうとする。
「いや待て!――そいつは剣が持ってる方が良い」
「俺に?」
どうやら槍一郎には確信が一つあるような思わせ振りだった。
「どうも出来すぎてると思わないか?前からBH.Batの存在は知りつつも、長いこと詳細が明らかになっていないことに。
これは僕の予想なんだが……運営側は既にブラックヘロンに乗っ取られているんじゃないかって思うんだ」
「やりかねへんなクロサギなら。下手に渡してブラックヘロンに知られたったら、それこそワイらの作戦はオジャンや」
「だからこのマイクロチップは剣が大事に保管すべきだ。
本当の切り札は『切り札騎士』のお前が持つ方が良いしな」
そう言うと槍一郎は再びBH.Batを剣に返した。
「まぁ確かに俺は『切り札』だが……槍ちゃんはどうなんだ?
俺を大きく魅せるのは勝手だけどお前も少しは見栄はっても良いんじゃないの?槍ちゃんも俺と同じ反乱者だし」
「……僕はそんなに凄くはないよ。剣達のフォローで精一杯だ」
槍一郎は目を反らしながら返した。
「俺は忘れてねぇぞ、『F-MAX《エフマックス》』の時のレーシングテク。
あの槍が翔ぶような速さ、爪の垢をプロテイン漬けしても敵わねぇよ……」
剣は隙を突いて茶化しながらも、そこには何処かしら納得の行かない何かが引っ掛かっている様だった。
(剣君何か隠してる。槍君の事で……)
◇◇◇
1st《ファースト》STAGE《ステージ》を終えて、デュエルフィールド会場は次のゲームの準備が行われた。
謂わばスマホゲームで新しいイベントの為にアップデートをするようなものである。
そして、準備は整った!
開始は魂の実況者、
『――剣と剣との火花を散らした1stSTAGE、しかしこの激闘は予選にとっては、まだまだ序の口だ。
さぁ続いてのゲーム、
3次元という垣根をぶち破って、飛び立て!プレイヤー達よ!!』
実況コールが終えると同時にいきなり会場の証明が落ちた。
そして最先端のプロジェクションマッピングで銀河を描くと、大きなモニターが登場した。
そこに写し出されたのは、小さな戦闘機と無数の弾を散らばせる巨大母艦だ!!
『宇宙に描くシューティング乱舞!!敵の弾を乗り越えて、舞え!狙え!!ぶっ放せ!!!
【コズミック・カウボーイ】!!!!』
★★★
PLAY GAME No.12
★G-1グランプリ予選
【COSMIC COWBOY ―コズミック・カウボーイ―】
・ジャンル『シューティングゲーム』
・プレイヤーレベル:27
ルール
太陽系銀河を舞台に様々な敵機の攻撃を交わしながら、自らが操作する自機で攻撃する縦スクロール型シューティング。
自機の操作方法は足元の縦横5メートルのセンサーパネルの上で、四方八方自ら動き回って操作する。
攻撃をする際はパネルに足で地団駄を踏んで連射させる対空攻撃ショット、軽くジャンプして放つ投下型攻撃ミサイルの二種類の武器で使い分けて攻撃する。
敵機の種類も数多く、対空で倒せるものと投下で倒すものとそれぞれ異なる。
またボス機として中型戦機や移動要塞、巨大母艦が各所で出現し、倒すことにそのランクに合わせて得点が加算される。
更に見えないところに隠された『スペシャルポイント』を取ると高得点や一機追加のボーナスを得られる。
各機3機やられるとゲームオーバー。その時のスコアを1/100にしたものを獲得ポイントとして換算される。
★★★
2ndSTAGEはシューティングゲーム。そして今回も同じブロックで100人ずつ競い合うが、一対一の勝負ではない。
スコアアタックは常に己自身との勝負なのだ。
槍一郎はルールを確認しつつ、冷静に状況分析して皆に指示を促す。
「このゲームじゃブラックヘロンの小細工は直で暴けない。今回ばかりは今まで特訓してきた事を活かして自分のためにやっても良いだろう」
「それもそうだな、いちいちクロサギの相手してたらキリ無いぜ。
せっかくのゲームだ、楽しみますか!!」
剣も先程のゲームから緊張が解れ、リラックスしたようだ。
剣が配属されたΦ《ファイ》ブロックでは1stとは異なり剣が5番目と早い順番で出番が整えられていた。
「あらら、随分早いな……俺の出番」
「これも予選の気紛れや、仕方あらへん。他の皆は中盤とか後半に出番になっとるから控え室で応援したるで」
豪樹はそう話すと早々とゲームの準備をした。
「あれ、豪樹さんも早いですね?」
「あぁ悪いな!ワイは一番で選考されとった!!見本と思って見たってや!!!」
急いで豪樹は会場に向かっていった。
◇◇◇
『銀河系の治安を守る最先端保安官、コズミックカウボーイ!その称号に相応しいプレイヤーは果たして誰になるのでしょうか!?
さぁ、まずは㈱《かぶしき》ブロックから参りましょう!1stSTAGE ㈱ブロックNo.1プレイヤー、高橋豪樹(25)!!』
「あ!豪樹さんの出番が来てるよ!!」
控え室でレミはメンバーを呼び掛け、㈱ブロックのモニターに集めた。
(良い見本を頼むぜ、豪樹さんッ!!)
剣は心から願掛けした。やったことの無いゲームの為ある程度の予習はしておきたいところであった。
『――ゲームスタート!!』
開始コールと同時に16bitの電子音が奏でるBGMが鳴り響く。
しばらくしてから偵察機が2~3機ほど出現した。
「ッしゃ、行くでぇ~!!!」
豪樹は己を鼓舞し、先陣を戦闘機に身を任せて突っ込んだ!!
最初のうちは敵機への襲撃は激しくはない。
だからこそ丁寧に片付けて得点を稼ぎたいところだ。
豪樹は冷静に一機ずつ足を軽く踏み鳴らして攻撃する。
更に進んでいくと宇宙に浮かび上がる小型設備は投下型攻撃で撃破、軽くジャンプで見事命中!
しかし敵側もやられてばっかじゃ要られんと反撃する。
玉のような光弾が直線で狙い打つ、勿論これに当たればミスになる。豪樹は素早く交わして仕留めた!
だが先に進めば進むほど、強敵な戦闘機や空砲台など数々待ち受けていく。
中にはどんな攻撃をやっても壊れない壁のような物体もあった。
「よし、そろそろ気ぃ引き締めんとな」
そしてそれぞれのエリアの終盤に待っているのは中型戦艦。
他のザコとは比べ物にならないほど光弾を四方八方撃ち、ばら蒔いてくる!
だがそこでも豪樹は冷静に避けて戦艦にある程度近づいた所で軽くジャンプ、投下型攻撃ミサイルで戦艦のコアに命中!!見事撃破!!!
―――と、こんな感じにゲームが進んで行くわけで。
豪樹はその後も順調に進み3機使いきってゲーム終了。
「オイ、ダイジェストはアカンやろ!!?」
いや、尺の都合もあるから……ゴメンね。
得点は105690点で、大会でのポイントは105ポイントとなった。
「豪樹さんありがとう!良い見本になったぜ。――俺も続くぞ!!」
豪樹のプレイを見終わった剣は直ぐ様Φブロックの会場に向かった。
◇◇◇
『さぁΦブロック、注目株の登場であります!1stSTAGE颯爽の如く登場し、見事No.1を勝ち取りました!!期待のルーキー、桐山剣(16)!!!』
剣の登場に会場内と控え室で歓声が鳴り響いた!1stでの激闘で更に盛り上がっている様子だ。
「……へへっ、気持ちいいなゲーム前の歓声ってのは!!」
剣はすっかり大会の雰囲気に味をしめていた。
さぁ剣の気合いも上々!準備は整った!!
『――――ゲームスタート!!』
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