第48話~G-1グランプリ予選・開幕!!~
「―――準備は済ませたか?」
「あぁ万全だ、ボス」
プレイヤー達はおろか、ゲームの筐体さえも電源を落とすほどに寝静まった暗闇のゲームワールド。
電脳異世界の万能なセキュリティを持っても、プレイヤーの悪意で容易く潜り抜ける。
機械よりも恐ろしいプレイヤーが闇夜に溶け込み悪巧む。
――ゲーム文明の宿敵、『
「よし……では手筈通りに各ゲームごとに『
「了解」
「……やはり今回の大会で仕掛けるしかなさそうだな」
「あの写真の件ですか」
「あの忌々しい……≪剣の魂≫とかいう奴のお陰で計画の殆どが崩れた!
何処の馬の骨か分からん三流プレイヤーごときが……!!!」
「あの目立ちたがりがまたでしゃばってくるんでしょうか?単なる義賊気取りか……」
「奴もおそらく大会に出ることになるだろう。そしたらすぐにでも消せ!!
ゲームワールド諸とも全力で滅ぼせ!!!!」
「……かしこまりました。ではバッチと共に例のものも用意致します」
「頼んだぞ――!!」
幹部はボスの命令に従い、プレイギアの多人数通話機能を使って同胞達に指令を下した。
『―――ブラックヘロン一同に次ぐ!我がボスの権限に従い、G-1グランプリ関西予選にて【
◇◇◇
大会当日―――!!
ゲームワールド随一の闘技場、『デュエルフィールド』に無数のゲートの扉から無数のプレイヤーが飛び込んできた。
イベントコード『G-1グランプリ予選』としてエントリーをしたプレイヤー達が、現実世界から転送された地区ごとに仕分けされて、各ルームで今か今かと開催に胸をときめかせていた。
そして、あの5人も――!
「―――なぁ槍ちゃん……なんかこう、眩しいね。色んな意味でさ」
剣は闘技場の照明と辺り一面のプレイヤーの群れに感動していた。
今までのゲームでは味わったことのない高揚感が剣に漂っている。
「剣、僕もだ。この眩しさがいつも僕の闘争心を駆り立てる…!!」
他の3人も同様、大会が始まる前のワクワク感は人それぞれである。
「やっば、あたしもうドキドキするわ!始まってもないのに!!」
「このお祭りな風景、久々やなぁ!この豪樹様の腕がなるわい!!!」
「色々不安な事があるけど……私、本当に出てるんだ大会に!!夢みたい!!!」
そんな中、照明が若干暗くなったのと同時に一機のホバージェットが飛んでるのを槍一郎が見つけた。
「――そろそろ始まるぞ」
『―――全国のプレイヤー諸君!G-1グランプリへようこそ!!!』
ホバージェットから発する大音量の場内アナウンスにプレイヤー一同が静まり返った。
『今年でG-1グランプリも24回目を迎え、各地区で約五万人、日本全国で50万人の参加者が集まりました!!
―――遊戯という枠を越えた無限のサバイバル!己のプレイスタイルをちょっと試そうという、そんな次元では到底収まらない桁外れなプレイヤー達がここにいる!!
目指すは頂点!プレイヤーの名誉『最強』という称号を求めた50万の勇士達よ!!
さぁこの予選を勝ち取り、G-1グランプリ本選の切符を掴みとるのだッッ!!!!』
響き渡る声に絶妙なワードセンスの実況力を併せ持ったアナウンサーの号砲にプレイヤー達が一気に歓声が沸き上がった。
『極限のゲームサバイバルバトル!G-1グランプリ予選!!
進行及びメイン実況は私、WGC所属アナウンサー
新垣は数多くのゲーム実況においても、郡を抜いた熱血実況者として人気を博している。
別名『ゲーム実況界の古舘伊◯郎』に、プレイヤー総員拍手で出迎えた。
そして司会の進行の元、主催しているWGCの主導者、及び代表の挨拶が行われた後いよいよG-1グランプリ予選のルールが説明される。
ここからは読者の皆さんにも分かりやすく説明しよう。
★G-1グランプリ予選ルール★
①各地区に5000人以上のプレイヤーが参加するため、100人になるよういくつかのブロックにランダムで分けて行われる。
②ゲーム種目は全9種。2日間(1日目は5つ、2日目は4つ)にかけてゲームで勝ち抜き上位に入るともらえるポイントを競いあう。
③1日目終了時に参加者全員のポイントを精算し、順位が参加者の半分以下の場合全種目終了前でも脱落となる。
また不正行為、或いはルール違反を起こしたプレイヤーは即失格とみなし脱落、及び今後の大会に規制をかけられる。
④全種目が終了し、各地区の全プレイヤーの獲得ポイント1位~100位までランクインしたプレイヤーがG-1グランプリ本選出場が決定する。
◇◇◇
「成る程ね……」
剣は少し苦い顔をしながら説明を聞いた。
いくら特訓を積んでいても、初出場の身である剣にはまだプレッシャーが残っていた。
「まだ自信が掴めてないやろ、剣」
豪樹が剣の考えを見透かしたように言った。
「実はその通りなんですよ…こんな大勢のプレイヤーとやるのは初めてなんで」
少し弱気になりそうな剣にメンバーは鼓舞する。
「しっかりしろ、剣らしくないぞ!」
「そーよ!あたしたちがいるじゃないの!!」
そして、みのりも。
「――剣君、不安なのは貴方だけじゃない。私も初めてだもん。でもこれだけは忘れないで……貴方は一人じゃないって事を。
騎士のように強く剣の魂を掲げた剣君は誰にも負けないって!私達が証明するわ!!」
みのりの一言に剣のいつもの鋭く輝いた目が戻った。彼女の一声にいつも剣は励まされる。
「全く……俺としたことが不安になりすぎたぜ。だったらそっからてっぺんの1番、狙えばいいんじゃねぇか!!!」
「……そうだ!それでこそ剣だ!」
「お前らが導いた道だ、本選通過なんて言わないでチーム揃って上位独占するぞ!!」
「「「「もちろん!!」」」」
シャッフル・オールスターズで不安を払拭しあうなか、黒い殺気に満ちた目をしたプレイヤーが四方八方剣たちに向けられていた。
それを知るよしもないシャッフル・オールスターズ。
G-1グランプリ関西予選は予測できない大きな波と共に荒れ狂う闘いになる。
その序章が今、幕を開けた―――!!!
大会開催のセレモニーが終わり、再び実況の新垣治郎の轟音がこだました。
『―――さぁ闘いへの儀式は終わった!!これよりG-1グランプリ予選開始を宣言する!!!では早速始めようではないか!!
予選
掛け声と共にデュエルフィールド会場の各エリアが眩く光り始めた!!
これだッッ―――!!!!!
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