第2章【G-1グランプリ予選編】
第47話~「ターン・アップ!!」~
大阪の無名のプレイヤー
彼らはゲームの頂点に立つ最強プレイヤー≪マスター・オブ・プレイヤー≫を目指すべく、ゲームチーム『シャッフル』を結成した。
そんな中、世界中のプレイヤーが集まる超巨大オンラインゲームネットワーク『ゲームワールド』でサイバーテロの脅威が迫っていた。
謎のプレイヤー集団『
理不尽に敢然と立ち向かう決意をした桐山剣はゲームで繋がった仲間を集め、5人のチームを結成。
剣、みのりに、WGC公認オフィシャルプレイヤー
目標は『G-1グランプリ関西予選』の出場と同時にブラックヘロンを討伐する事。
大会までの1ヶ月間剣達は特訓を重ね、大会に備えていった。
そして1ヶ月が経ち、大会前夜。5人は今ゲームジム『ビッグウェーブ』にいた―――!!
◇◇◇
「エントリーから1ヶ月、そして明日が大会予選か…!!」
槍一郎は染々と一言呟いた。
「俺達ここまで頑張ったよなぁ……」
剣も涙声になりつつ染々と感極まった。
「皆えぇ具合に成長しとった!ワイもここまで上達したプレイヤーは見たことなかったでぇ……!!」
そして豪樹も号泣全開だ。
「ねぇ、あたしのカ◯リーメイトどこ?」
――――バシッ!!!
男子チーム総出でレミはしばかれた。
「レミちゃん、そこで流れ止めちゃダメよ」
……とまぁ茶番は置いといて、槍一郎は咳払いしながら話を続ける。
「……とにかく!僕達5人はこの1ヶ月、長短所を補いながらステータスを上げるトレーニングを費やしてきた!!
皆、大会までの予定の強化基準を遥かに上回ったステータスまで上達している。後は大会のプレッシャーに打ち勝つ気持ちがあれば充分だ!それと……」
「あの『ブラックヘロン《クロサギ》』野郎を潰せる……だろ?」と剣。
「――そうだ。あのテロリストプレイヤー達を潰さない限り僕達プレイヤーの明日もない!
僕らはそれに屈しない為の力を付けてきたといっても過言じゃないだろう」
「でも一筋縄じゃいかないでしょうね……」
みのりの言う通り。相手はゲームワールドの管理をも震撼させるテロリストだ。
こんな驚異が隠れているのにG-1グランプリは予定通り開催するものだから、皆が不安になるのも無理は無い。
「多少のイカサマプレイなら対策は出来るんだが、問題はそれを仕組む同胞を見つけられるかどうかだ。
――奴らはイカサマを仕掛けるための細工から、アリバイ作りまで複数のプレイヤーが関わっている。
そこを突く急所的人物を見つけられるか……って所だな」
「でも予選には関西地区でも五万を越す参加者がいるのよ?あたし達で見つけられるのかしら――?」
「そこで剣が残した写真が手掛かりとなる」
「俺の写真?」
「ほら、君が以前あの連中にポーカーで近づいてボコボコにした時に撮ったあの写真。
挑戦状も添えてWGCの
『ゴールドラッシュカジノ』に占領していたブラックヘロンの一味のイカサマを見切った剣は、ゲームでも喧嘩でもコテンパンにして写真に撮って管理者とWGCに送っていたのだ。
これのお陰でWGCのセキュリティ班によって、鳥の刺繍をしたTシャツを着たブラックヘロンの同胞を確保していった。
「――あぁ、あれな。あの後どうなったん?」
「お手柄……と言いたいとこだが、やりすぎだぞ剣。
あの写真が証拠になってブラックヘロンと思われるプレイヤーはある程度しょっぴいたが、幹部には相当逆鱗に触れたみたいだ」
私情に駆られて大暴れした剣、多少計画とは外れた行動に槍一郎は困惑していた。
「俺はそれを承知で写真撮ったんだよ。
―――それにあの写真には俺の名前は入れてないし、勿論皆の事も知られてない。
だから相手が正体を知られる前に叩き潰せるチャンスもあるって訳!」
幸いにもあの場に居合わせたブラックヘロンの一員は全てWGCによってしょっぴかれた為に、幹部達を含めこの事実を知る者はいないという訳だ。
「……あ!確かに。あたしたちまで目を向けられてないから、存分に懐を探れるわけね」
「なんや、剣にしては策をちゃんと考えてたんか」
「俺はもうあんなザコ相手に怒りませんよ。怒りの矛先は、親玉に思う存分ぶつけるんですから……!!」
剣はニヤッと不敵に笑みを浮かべた。
「俺達が勝つかどうか、勝負は大会で付ける。
もう一度確認しておくぞ、俺達『シャッフル・オールスターズ』の使命はブラックヘロンを潰すこと!そして……
――――皆で一緒に予選突破しよう!!!!」
剣はそう言うと右の拳を前に差し出した。
それと同時に他の四人も拳を出して触れあい、団結を確かめあった。
「『シャッフル』!!ターンアップ!!!」
「「「「GO!!!!!」」」」
『ターンアップ』とはトランプの用語で切り札を決めるカードを裏返す時に用いる。
それがいつしかシャッフル・オールスターズの鼓舞する為の掛け声となっていった。
大会に備え英気を養うために解散するなか、みのりは一部疑問を抱いていた。
(――確かに皆強くなっているし、私も自信が付くようにはなってきた。
ブラックヘロンに太刀打ち出来る準備も万全に備えている筈なのに、不安が止まらない……
何か大会で嫌な予感がするようで、堪らなくなる―――!!)
この時はまだネガティブな事を考える時では無かったが……
皮肉なことに、みのりの並みならぬ不安への予感は的中することになるとは――!!
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