第38話~『銃』へのリベンジ~
「――――【
仲間達と共に最強プレイヤーを目指すため、ゲームに挑む剣達。
新しい仲間とそれぞれの信頼を築き上げながら、今日もまたゲームに挑む。
毎度会話でスタートするのが定番だが、今回は剣と槍一郎、高校での二人の会話だ。
前回のゼビウスで絆を深めた二人が親しんで会話している光景が何とも微笑ましい。
「そう、ゲームワールドで全国のプレイヤーの中の最強を決める大会だ。
ゲームで勝ち取ってレベルを上げて、報酬を勝ち取るよりも格段に違う。
G-1グランプリを制したものは伝説として刻まれるほど、最大級の名誉と言われてるんだ」
槍一郎の言葉から出た『G-1グランプリ』。
それはすなわち剣率いる『シャッフル』の目指すべき目標を指す意味も持っていた。
「……全国って事は関東からも来るって事か?」
「関東処か海外のプレイヤーも参加してるよ。それだけデカイ大会って事」
「あの東京のリッチ集団もか?」
「?――何だよリッチ集団って」
槍一郎の鈍い反応に、剣は若干じれったくなりながら話した。
「『
「……あぁ。確かにリッチぽいが…剣、そのチームの事知ってるのか?」
「『立海遊戯戦団』……」
剣の脳裏にはあの惨敗したシューティングゲームの事が鮮明にフラッシュバックした。
『立海遊戯戦団』のリーダー格、
思えばあの日から、剣のプレイヤーとしての意志が目覚めたと言っても過言では無かった。
「……へへへッ!!当たり前じゃねぇか。俺はあのキザったらしい貴族野郎に歯向かったんだからな」
「歯向かった!?あの立海銃司と!!」
槍一郎は無謀かと言わんばかりに驚いていた。
「そう。あの他人を見下した傲慢な面が気に入らなくてさ、でもアイツは強かった!」
「……剣。君が実力に自惚れてたか知らないけど相手が悪すぎだ、ヤツは銃司の名に恥じぬ『銃』の魂を持つ男だ。
強者を求めてゲームに挑んでは、相手を容赦なくプレイで撃ち殺すゲーム貴族が、今や関東代表のプレイヤーになってるんだ」
「確かに!俺はあの時自惚れてた。
――だがこのまま負けっぱなしじゃ性に合わねぇ、今度戦うときまで強くなんなきゃいけないんだ」
剣のゲームやライバルに対する負けん気の意志は鋼よりも固かった。
「やれやれ……でも剣さ、仮に銃司とリベンジしたとして勝てる見込みはあるのか?」
「変な質問だな。意地でもあのガンマン野郎に、俺の魂の『剣』で勝負するに決まってんだろ」
「敵は銃司だけじゃないんだぞ。それに『マスターオブプレイヤー』を目指す奴は理屈で勝負するもんじゃない。
――僕はその勝負に早まるべきじゃないな」
剣は一旦躊躇った。だが剣の腹は既に決まっていた。
「……槍ちゃん。その『G-1グランプリ』の受付ってのはいつ締め切りなんだ?」
「ん?確か……あと5日だったかな?まず各地域ごとの予選のエントリーがあるんだ」
「それを早く言ってくれよ!!今すぐエントリーしなくちゃ」
咄嗟に剣はプレイギアを取り出して、G-1グランプリの情報を得ながらゲートを出す準備をした。
「はっ?剣!お前本気でG-1グランプリに参加するのか!?」
「なーにあくまでも実力比べさ。それに参加すれば『シャッフル』の知名度も上がるだろ?」
プレイギアでゲートを呼び出し、一人ゲームワールドへ転送しようとする剣を槍一郎は一旦止めた。
「待て!!―――いずれ銃司とも戦う気はあるのか…!?」
「………当たり前だ。これは俺の
そういうと剣は一人ゲームワールドへ転送された。
(――宿命のライバルってのは……何とも一方的なもんだな)
◇◇◇
―――変わってここはゲームワールド。
『プレイヤー・バザール』の市場から南西に見た方向にある【インフォメーションオフィス】に剣は向かっていた。
ここではプレイヤーのプロフィール更新やクリア報酬の賞金の口座手続き、アンティでの破産保証保険の加入、そして先程のG-1グランプリのエントリーも行うことが出来るのだ。
剣は『G-1グランプリ関西予選』の概要パンフレットを読みながら情報確認をしていた。
「えっと、参加条件は7才以上でプレイ違反点数が10以下であれば誰でも参加可能か……よし大丈夫!エントリーするぞ~!!」
と剣が張り切る矢先に誰かが声を掛けてきた。
「――桐山君やないか!!」
この口調は京都風の関西弁。
以前剣と高校で五目並べを一緒にやった、WGCの関西代表会長の
「あ!角田さん!!お久しぶりです!!角田さんもゲームワールドに来るんですね」
剣は礼儀正しく深く御辞儀をした。
「ちょっとオフィスで野暮用でな、桐山君もあれからゲーム頑張ってるそうやないか。
剣は若干照れくさそうに、
「はい、お陰さまで…さっきまで槍一郎からG-1グランプリの話を聞いてエントリーしようと思ってるんです」
「おお、そうか!だったら直ぐにエントリーした方がええ。
もしかしたらこの大会が最後になるかもしれないからな」
(――――!!?)
『最後』というさりげない言葉に、剣の顔色が一変した。
一体どういう事なのか?
我々の知らないところで、ゲームワールドが危機に晒されているというのか――!?
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