第36話~剣・槍、対立!?~
★★★
PLAY GAME No.10
【ゼビウス・フューチャー―XEVIOUS FUTURE―】
・ジャンル『シューティングゲーム』
・プレイヤーレベル:25
概要・ルール
戦闘機『ソルバルウ』を二人で分担して操作しながら敵を討伐し、巨大要塞『アンドアジェネシス』を撃破するのが目的のシューティングゲーム。
ソルバルウの操作は、2階層・縦横のセンサー付き直線に1人ずつ配置し、縦が上下、横が左右にセンサー反応させてソルバルウを動かす。
攻撃は下の層でプレイヤーが小ジャンプすることで対地武器『ブラスター』。
上の層でプレイヤーが地団駄を踏んで対空武器『ザッパー』を繰り出せる。
・クリア条件……ゼビウスのボス『巨大要塞アンドアジェネシス』の討伐
・クリア報酬……スコア分1/10の賞金&アイテム金宝箱1つ
★★★
剣と槍一郎のペアで挑む、進化型ゼビウス。
プレイ前に二人で作戦会議が開かれた。
「槍一郎、『ゼビウス』はやった事あるんか?」
「勿論。隠しキャラの『ソル』も『スペシャルフラッグ』の場所も殆ど覚えてる」
「心配ゼロやな。じゃ分担はどーしよか――?」
二人の協力プレイということもあって、上か下の層かの役割だけでもプレイに大きく関わっていく。
上のザッパー担当は地団駄を踏む為、連射による体力が削ぐわれる。
下のブラスターはコントロール、そして移動を疎かにしてはならない為、集中力が問われる。
二人が選んだ担当は……
「……よし、じゃ僕が上のザッパーをやるよ。連射は任せて!」
「そうか? じゃ俺は下のブラスターやな、頼むぜ!」
二人は互いに握手を交わし、それぞれ決めた直線に配置した。
そしてプレイ前にテストチェック。センサーの感知や、武器の出し方などそれぞれ感覚を掴んでいった。
(韋駄天みたいな奴の事や。連射のザッパーを選んだのは妥当な選択だが――問題は、槍一郎のペースに俺が合わせられるか。波長を合わせられねぇと、このゲームはクリア出来ない……!)
プレイ前から協調性に危惧する剣。そしてその予感は予感通りに動いてしまう……のだろうか?
「いや、語り部のあんたが聞いてどうするよ?」
いやいや、先の展開は語り部でも知らない訳で。まぁ、とにかくやってみよう!!
さぁ二人とも、準備は出来たか!?
『ゲーム、スタート!!』
出撃を告げる電子音のファンファーレと共に、ソルバルウが天空に飛び立った!!
そして円盤型で不気味に浮遊する敵機の群れが、画面に現れる!
「……行くぞ!!」
槍一郎の掛け声からの刹那、物凄いスピードで地団駄を踏む!
脚にスプリングでも仕組んだかのような、槍一郎の裂脚超速ピストン。ザッパーの雨が一瞬にして敵機を撃破していった。
(やっぱ早ぇ………)
剣は思わず溜息、槍一郎の連射に見惚れる。
「剣、ボーッとするな! 前見ろ!!」
「え、あ、ヤベッッ!!」
ギリギリに迫る敵機を瞬時に横に避ける剣、危機一発。上下担当の槍一郎が動かない場合、剣が動くと左右サイドステップのようにスムーズな横スライドで操作される。
そして敵は砲台等の地上物、これは剣担当の『ブラスター』で上から撃破するしかない。
「よし、こっからは俺が……」
ソルバルウの前線から5センチのカーソルで狙いを定めて……軽くジャンプ、発射!
――ズガァァァァーーン!!
地上要塞、撃破! この地上物にはゼビウスの襲撃を激しくさせる情報収集のレーダーもある。最低限焦りを生まないように残さず撃破していきたい。
「剣、敵は居ないけどある程度ソルバルウを動かしてくれ。急に攻撃してくるときの為に構えていないと」
「あ、あぁ。分かってる……」
槍一郎に二つ返事で返す剣は、余裕が無い状況下に、彼の助言ですらも少し苛立ちを感じてしまう。
敵への接触、弾に当たった時点でアウト。
そんなシビアな体感シューティングが、さらに剣を切羽詰まらせていく。
「槍一郎、確かそろそろ隠しキャラの『ソル』が出るんちゃうか?」
剣が敵の襲撃を緩めた隙に、ようやく相方に話を交わす。
「――そうだ、右サイド。空砲台『ドモグラム』のいる通路にいる!」
『ソル』とは、何も変哲の無い地上の中に隠れているエネルギータワー。
これを探す鍵は、カーソルが光る反応を示した際にブラスターで撃つことでタケノコのように出現する。
出現させる事で2,000点、更に撃破させて2,000点の合計4,000点のボーナスポイントが得られる。
そして、もうすぐその『ソル』が迫るエリアに近づいていく!
「………来たよ!!」
ドモクラムのいる道路右サイド接近!
まずは攻撃を仕掛けるドモクラムを撃破し、カーソルを頼りにソルを探す!
(スクロールが早い……どこだったけか!?)
剣が焦り、スクロールの真ん中でようやくソルに光る反応が!
「あった!!」
素早く軽ジャンプ! ソル出現!!
しかし………
「………ダメだ、撃破に間に合わない!!」
残念無念。出現は出来たものの、追撃でのソル撃破が間に合わなかった。
2,000点のみを得て、生えてきたソルが強制スクロールで画面の外へと素通りしていく。
「ち、ちくしょう………!」
苛立ちが募り、剣は苦虫噛んで悔しがる。
――そして中ボスへ。
中型の対空砲台『デロータ』がソルバルウを地獄へ逆落としする気だ。
「敵と距離を取って、弾撃ったら逆方向に動いてから撃破しよう」
「……OK」
両者とも画面を黙視しながら相槌を打つ。
デロータの弾の放出と共に、弾から反対側へ大きく横に動くソルバルウ。
そして隙を突いて接近………だが!!
(ヤバい! 槍一郎のスピードに合わせられねぇ!!)
攻めの上下と避けの左右が噛み合っていない! 於保ついたソルバルウの動きにとうとう……
――ドカァァァァン!!
ソルバルウ・1体目の撃破。
「……ちょっと止めよう」
槍一郎は慌ててオプションで『ポーズ』、つまり休憩を挟んだ。
「やっぱり動きが噛み合ってないんだな、今度は剣のペースで――?」
槍一郎は剣に提案を持ちかけるも、肝心の剣は体力の減少による息を吐き散らし、黙りこくって下を俯くだけ。そして、弱気を呟いた。
「………こんなん、出来ねぇよ――!」
「剣?」
「バカみたいに速いお前と違って、俺は足引っ張ってばかりやがな! 凡人が天才に合わせられる訳無い!!
――こんなんで『シャッフル』のリーダー語れっかよ!!!」
ミスと責任感で心に余裕が持てなくなった剣が、とうとう自暴自棄になり参った。
「………その程度でもうギブアップか?」
「あぁっ!?」
「今まで単独で突っ張ってきた君が、いざチームプレイになって、波長が合わないようじゃこの先やっていけない。そんなんじゃ――最強のゲーム戦士になんかなれないぞ!!」
「何…………ッッ!!?」
沸点に達し、互いに威嚇しあいながら張り合う二人。息が出来ないほど気まずい空気のなか、高まる苛立ち、フラストレーション。
―――最悪の状況の中で……内に秘めた互いの信頼が目を覚ます時、このゲームの劇的瞬間を目の当たりにする!!
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