第35話~リーダーに相応しいのは誰?~

 最強のゲームプレイヤーを目指して、『ゲームワールド』を旅しながら、ゲームに挑み続ける剣達。


 今日も仲間と一緒に未知のゲームへ……って、ありゃ? ヒロインのみのりちゃんとレミちゃんが居ませんね?

 すみませーん、剣さんと槍一郎さん! この作品の華であるWヒロインは何処行ったんですかー?


「そら贔屓ひいきしすぎやろ。みのり達ならゲームワールドでジェンガしに行ったよ」

「そう、僕ら男子はおいてけぼり」


 そーでした! 前回のゲームで御二方は百合ジェンガに行ったために、男子ペアは出番ゼロのお留守番。それがやっとこさ、今回のゲームでご登場。さて、どんなプレイを魅せてくれますやら!


「やる前に期待値上げるんじゃないよ。……さて、これからどうする? 剣」

「せやな、俺達二人だけでもゲームワールド探索してみっか?」


 今回初めて、シャッフル男子ペアでゲームワールドに向かう事となる。はてさて本日のエリアは……


「じゃあ、ここ行ってみるか!」


 指したエリアは、【アーケードタウン―ARCADE TOWN―】! アーケードの筐体並ぶ盛運の町だ!!


「良いね。僕も久々に行ってみたいと思ってたんだ!」


 意見一致。早速剣達は、学校の近くのモノリスへ向かいプレイギアでコードを入力。ゲームワールドに誘う電脳の扉『ゲート』を出現させた。


「「ゲート・オープンッッ!!」」


 二人揃ってゲートを開き、二人の身体がデータ粒子となって、そのまま異世界へ吸い込まれていくように『ゲームワールド』へ誘った。


 ◇◇◇


 ――ゲームワールド・アーケードエリア、【アーケードタウン】。

 好奇心にビビっとくるようなゲームを求めて、剣と槍一郎は歩きながらエリアを探索中。


「槍一郎はこーゆー所は良く行くのか?」

「プライベートの時は良く来てるね。『ハングオン』とか、シューティングの『ダライアス』とか。やらず嫌いは無いし、何でもやるかな」


 アーケードタウンはレトロゲームの筐体が並ぶ町でもあって、広い年層で親しまれている。

 槍一郎もレトロゲームには趣向範囲が広く、マイナーもやる程の通であった。


「結構チョイス渋いな。レースは未だしも、シューティングも得意なんか?」

「まあね」


 ステータス的にスピードに全振りしていそうな槍一郎。シューティングにも長けてると言っておけば、自動的に説得力も付いてくる。


「いや、嘘は言ってないからね!?」

「分かってるよ。お前平然とした顔で16連射出来そうなオーラ出してるし」


「そんなんじゃないよ。1秒までならやったことはあるけど」

「約1.5倍!!?」


 これには高橋名人も真っ青! 仮に指にバネを仕組もうとも、達成できそうにない記録である。

 それを平気で言うもんだから、強いプレイヤーの常識は当てにならない。


「……そんな強いなら、『シャッフル』のリーダーもお前がやりゃエェやんか」

 内心ふて腐れてる剣がボソッと呟いた。


「そう拗ねるな。でも僕は、剣の方がリーダーの方が向いてると思う。冗談は抜きでね」

「………謙遜してんのか?」


「そうじゃない。本気で君に惚れ込んでるんだよ」

「それも冗談抜きか? 男同士でその発言は気色悪いぜ」


 自分より実力が格段上の槍一郎に惚れ込まれる剣。

 複雑な感情に思わず顔も歪み、少し呆気に取られた。


「だったら、それを証明してみた方が早いだろう。君の大好きなゲームで!」

「……あぁ、その方が納得が行くわな。で何やんの?」


「あったぞ。あのシューティング!!」


 たどり着いたのは、レトロの筐体が突然変異したかのような、最先端を極限に進化したゲームの溜まり場『EVO・SPOTエボ スポット』にあるシューティングゲーム。


 それは100インチを越えるほどの巨大なスクリーン。そして上に縦、下に横の通路が、L字2階層に交差する独特な作りのアーケード。

 そしてスクリーン上にて操作する戦闘機は……


「これ、“ソルバルウ”だよな……まさか!?」


「そう、これは次世代に進化したゼビウス!!

 ――【ゼビウス・フューチャー】だ!!」


 ★★★


【ゼビウス】とは、

 1983年にナムコが発表されたアーケードゲーム。壮大な世界観とシューティングの概念に一線を画したシステムで『スペースインベーダー』に次ぐヒットとなった伝説のシューティングゲームである。


 ★★★


「でもどうやってソルバルウを操作するんだ? レバーもボタンもねぇぜ。L字に交差する線路だけや」

「これを動かすのは、


「はぁ!?」

 剣は常識が崩れたゲームの仕組みに口をあんぐりさせた。


「上の縦線が上下、下の横線で左右にソルバルウを操作してシューティングをする。無論これは一人じゃ出来ない」


「チームワーク、ってか……?」

「そう! 僕と剣で、このゲームをクリアして証明しよう。――リーダーに相応しいのは、君なんだってね!!」


「………………」

 槍一郎の意思表示と同時に、剣は重いプレッシャーが乗し掛かるような感覚を覚えた。


 剣と槍一郎、刃の魂を持つシャッフル男子コンビの可能性や如何に!?

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