最終章.雪がとどけたきみの声

これまでのあらすじと解説 ※ネタバレご注意!

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※※     ご注意!      ※※

※※  8章のネタバレ含みます。 ※※

※※ 未読の方は、読了後の閲覧を ※※

※※  強くお勧めいたします。  ※※

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これまでのあらすじ:


8.神のぜんいを使うひと


 魔軍により、西区が壊滅した王都に戻った仲間は、悲惨な光景を目にした。

 途中、マルコは前に旅を共にした神官戦士ゴードンと合流。街ごとすっかりなくなった西区あとで地の霊ノームの商人、北門で傭兵隊長のメルチェと再会する。


 一方、王女レジーナと先導者ユージーンは魔軍に立ち向かう意志のない王に絶望し、みやこを救うために自分たちの計画を進める。

 それは、王都グリーのあるじを王女に変えて、異邦人マルコの協力で、王都グリーを発動することだった。

 混沌の神官長アエデスの術でグリーのちからを得たレジーナは、前に言われた『満月の加護』を気にする。

 巫女みこエレノアが、それは人の『心の月』だと予言した。


 年が明けて初めての新月の夜。

 古代こだいひとが主導する魔軍は王都へ侵攻。

 参謀ベラトルの策で迎え討つ防衛軍。レジーナとユージーン、そしてアルとコーディリアは力を合わせ、王都グリーを発動して兵の心をまとめ進軍する。

 序盤、魔軍の岩鬼トロールを撃退するマルコら仲間の遊撃騎馬隊。同じく、中央ではかぶと副長ふくちょうが奮戦した。


 中盤にかけ、敵の攻撃は後退する中央軍に集中。しかしベラトル戦車まわりを舞台に、キース率いるハラネ国使節団、ゴードンの神官戦士ドワーフ隊、乱入した魔法学院アカデミー幼年部やいやし手サニタと、たすけが次つぎつながる。


 終盤では、魔法で孤軍奮闘したユージーンを助け、コーディリアが魔具を手に王都グリーのちからを発揮。

 闇のエルフ、アニヤークも制する。

 一方、魔軍の裏手に陣取るマルコらは、古代人らがマリスでんだ巨大神ティターンをとらえた。

 王都グリーの最終発動で『光の軍』を想像するレジーナ。だがマルコは『超巨大な剣』を訴え、なんとか巨大神ティターンを倒す。

 だがしかし、古代の人が集めたマリスと王都グリーの激突は、互いの消滅に至る。神の善意を使い切ってしまった防衛軍は、力尽きてひざまづいた。


 それを救ったのは『満月の加護』。

 すなわち、さまよえるエルフから『エルフの水』へと目覚めたアオイの心の海にうつる大いなる満月による祝福であった。

 アカネが火の眷属召喚けんぞくしょうかんをへて、白炎はくえんで魔軍の逃げ道もふさぐといくさの勝利は決定的に。


 そして迎えた夜明け。

 勝利の朝に、さまよえるエルフたちが第三の民を励ましてうたう。その祝福に誘われ、いくさあとの大地をいろどったのは、痛みを受けていた西区の民だった。

 それはまるで、第三の神の願いであるかのように。



 一方、マルコはじめ仲間は、合戦のあとも魔軍の首謀者である古代こだいひとを追跡した。

 その先の運命など、何も知らないまま……。




解説:


・グリー

 神の善意の石。第三の民、人間に良い影響を及ぼす。

 アルは王立魔法学院アカデミーの探究者で、魔法学院アカデミーグリーを大杖に仕込んでいる。

 なお、最大の王都グリーは、大合戦で失われた。


・マリス

 神の悪意の石。第三の民、人間に悪い影響を及ぼす。

 アルバテッラには、マリスやグリーが多数存在する。


・マルコが運ぶ『たまご』のマリス

 マルコが腰にしばる袋に入れたマリスは、南の森の狂戦士バーサーカー宮殿跡で発見された。

 2章のアエデスや、エルフが『たまご』と呼ぶ。充分に育てば、悪意の化身『サマエル』が生まれる、と6章でエルフの女王が明かした。

 3章ルスティカと4章の西の海のマリス、5章の古代人と7章単眼巨人キュクロプスのマリス、および8章の大合戦のマリスを捕食して人の頭ほどに大きくなった。

 マルコをあるじとみなし、彼にだけ声をかけているもよう。


・暗い袋(アルの杖先のもの、マルコが腰にしばるもの)

 グリーとマリスの力を外部へ及ぼさない魔道具。普段はこの袋をグリーとマリスにかぶせている。

 6章でアルが「ニーグラム・プレトリウム(吸光きゅうこうの穴)」と呼ぶ。


・アルフォンス・キリング

 マリスを崇めた狂戦士バーサーカーの子孫。幼いころに父母を亡くし、王都の魔法学院アカデミーへ。卒業後、北の探究者ナサニエルの跡を継ぎ、南の探究者となる。

 その10年後にマルコを召喚。異邦人の手で南のマリスを運び出せたものの、行き場を失いマルコと共にその置き場を探す。


・バルタザール・コナンドラム

 若ドワーフ。長い引きこもりの鉱山生活で、グリーとマリスを手袋で「穴へ落とした」。そのマリスを古代こだいひとが手に入れた。

 取引によりマルコを守る。


・エレノア・ウォーターハウス

 かつてアルに、古代こだいひとから救い出された月の巫女みこ

 大合戦の終盤、『エルフの水』のアオイと心が通じ、満月の巫女みことなる。


・エルヒノア・アカネ・ロムレス

 長命の古代エルフ。古代のけものの剣の持ち主。マルコに剣を返してもらい、彼の身を守ると誓う。

 東のうもれ森で、最上位の火の精霊である『エルフの火』となった。

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