プロローグ
暗闇の中、光るしずくが落ちて青い
上に、ぼんやりした明かりが見える。
声はそこから聞こえるようだ。
「……は、きこ…………か?」
よく聞き取ろうと、明かりを見つめる。
するとそれは、光の
光は、一つ一つが
ふいに、音楽が聞こえる。いや正しくは、男の声をいくつも重ねた詠唱だ。
低い声、高い声。ある声は力強くゆったりと、ある声はささやくように急ぐように。
その多重奏に合わせて、光の
音と光は意識に深く
再び声が問いかけてくる。
「こんどは、きこえ……ますか?」
夢からさめて、初めて言葉を発するように答えた。
「……ふぁ……はい」
呼び声は、ほうと一息つくと明るく話す。
「よかった! わたしは、……るばてっら王りつあかでみー……たん究者、あるふぉんす・きりングともうします。
あなたのお名前は?」
なんとか、口に出す。
「マ……キ」
「まき?」
「……。マキ……オ」
光の向こうから、楽しげな笑い声が響く。息づかいまで近づいてくる。
「マキ・オ?
なんだか古代エルフの
とても高貴で、素敵な名前だけど、ここでは目立ち過ぎる。
……不本意かもしれないが、こちらへ来てもらったら、平凡な名前がいいよ。
……。
マルコでどう? 大河からこっち、南ではとてもよくある名前なんだ」
呼びかける声は急に
マルコと名付けられ、ようやく意識がはっきりしてきた。
夢を見ているんだろうか?
詠唱のこだまが
疑問が一気に胸に湧く。
「マルコ? 名前を変える? いいですよ。
……いままで良い事もなかったし。
でも、あなたは誰? これは夢––––」
その瞬間、全ての音が
男は、こんどはどこまでもよく通る声で、太陽のように
「
アルバテッラの人ならぬ異邦の人の承認を
第三の神の力を借りて、
そうして、すべてが
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