アコガレル、コガアレル。

優芽 ひと

※これはノンフィクション(現実)です

-誰しも何かに憧れる経験はしたことがあるだろう。

その度に同じだけ才能の差を味わったことだろう-


1「君もこの体験があるだろう?」


2「あぁ、あるさ。だが、こいつらは決してファンタジーの世界にいるわけじゃない。現実にいるんだ。この世界に存在するんだ!不可能なんかじゃないんだぜ?」


2「だから頑張れる。」


2「いつかおれもあの場所に…そう希望を持って努力できる。違うか?」


1「そうだな…だが……。……」


2「なんだよ。」


1「いや、」


1『自らが折れてしまった時、憧れたその世界が、才能が、事象が、残酷に、ひどく残酷に、ただひたすら冷たい現実で、お前の心を、無意識に、無機質に、無差別に、無茶苦茶に、止まることなく抉ることになるんだ。

好きなものを見てるはずなのに、どうしてもやりきれない。ただ事実で胸の底を殴られている感覚だけが鮮明になって、同時に自らの道標を失う。暗闇となった視界では一歩先は360°どこをとっても崖、そんな気がしてならない。その中で自分の支えと共に体が崩れ落ちていく感触。そこは誰も入っては来れない。来てはいけない。助かることを自らが拒否している。助かることで自らが叶わないことを認めてしまえば、そこで根本的に全て目的を失う。おまけにこれが叶わない事ではない現実であることを再認識すれば自らの実力のなさを叩きつけられる。自らが原因で引き起こされた事象にこれまでの全てを否定された感覚に陥る。果たしてそれでも憧れは現実であることを望むか。悲しみしか生まない、そう思ってしまうのも仕方のないことではないだろうか。』


言わなかった


2「なんだよ、勿体ぶってないで言えよ。」


言えなかった


1「いや、」


もし、彼がそうなってしまうとしても、


1「…なんでもないさ ははっ」


可能性だけは摘んではいけない


2「んだよそれ」


後悔するとわかっていても


1「ところでいまは何か憧れはいるか?」


先が見えていても


2「話逸らしやがって」


そこに進むのが


2「ああ、もちろんいるさ」


悲しくも人である。


2「最近この人が凄くてさ!俺もこの人みたいに!って思ってやってんだけどさ〜」


……


1「そうか。」


この過程こそ本当に大事なモノなのだ


形とならなくとも


結果を残せずとも


そう思わなくてはならない


絶対に、そう思わなくてはならない


思い描く憧れ達も同じように


それ以上に


積み重ねて


「そこ」にいる


だから


1「頑張れよ。」過去の自分。

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アコガレル、コガアレル。 優芽 ひと @yu_kaku1119

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