3
タクシーの中でも、さっき別れた妙なサンタの顔が頭から離れなかった。
完全に終わってしまったマサユキを吹っ切れた訳でもないのに、全くおかしな話である
また会えたら良いね、なんて言ってしまったのも、我ながらどうかしてるとしか思えない。
どれもこれも、クリスマス特有の浮ついた雰囲気のせい。
無理にでもそう納得させないと、やってられない気分だった。
窓の結露を指でこすり拭うと、すぐ先にコンビニの看板が見えた。
数時間前までの名残か、空気で膨らんだサンタクロースが寒々しい店頭にぽつんと立っている。
「運転手さん、すみません」
思わず唇が動いた。
「ちょっとコンビニに寄って、待ってて頂けませんか?」
店内に入り、真っ直ぐに缶ビールを手に取る。
それからレジの前に1つ残されていた箱入りケーキも、レジ台に載せた。
今日は色々な事がありすぎた。
だから、という訳でもないけれど。
もう少しクリスマス気分を味わっていたい。
独りそんなことを思いながら、小さく笑った。
END
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます