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「私の両親が都会に逃げちゃったのもさ、あの人達なりの虚勢だったのかも。そんなことじゃ中身はぜーんぜん変わらないだろうにね」



言いながら柴野を見ると、彼は眼鏡を外して涙を拭っていた。



「お、やっぱり中々イケメン」



安ったらしい街灯の元でも、彼の顔は想像以上に整って見えた。


充血した目を再び眼鏡の奥に据えながら、柴野は照れた様に笑う。




「柴野君」


「はい」


「私さ、これからも誠治さんのバーに通い続ける」


「……はい」


「また会えたら良いね」



笑顔で頷く柴野に笑い返し、私はタクシー乗り場に向かった。


後ろのタクシーに柴野が乗るのを見届け、自宅の住所を告げる。

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