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「2人で泣いたってしょうがないじゃない……あんたは、また一歩出遅れた。私もタイミングを逃したばっかりに、それっきりになっちゃった。それだけ。同じでしょ?柴野君だけ謝らないでよ、もう」
私は別れを告げてタクシーに乗り込んだマサユキに謝る事すら出来なかったんだから。
心の中で付け足す。
やっぱり小さくて意気地なしの私。
虚勢だとしても精一杯張っていなければ、『ダメな私』に押し潰されてしまいそうだった。
自分さえ嫌いな私の不完全な所まで誰かに好きになって欲しいだなんて思わない。
けれど直る見込みのない以上、私は一生、不完全な自分の面倒を見ながら生きていかなければならないのだ。
それは何処に行ったとしても変わらない。
「柴野君、都会ってさ、思ってたほど良い所じゃなかった。全部が綺麗なわけでも満たされるわけでもなくて、特に楽しくもない所だね」
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