3


いい加減にイルミネーションの消えた駅前で謝り続ける柴野を見ながら、私はふとなのだと思った。



私がマサユキにしていた事と、その結末。

それと全く同じ事が今また起ころうとしている。


私が柴野に最低だと、もう金輪際会うつもりなどないと一言告げてタクシーに乗ってしまえば、状況の再現は完成するのだ。



でも。



「私に柴野君を責める資格なんて無い」



ぽつりと呟くと、やはり出て来た涙。


人前で泣くなんて。

そう自分を咎めたけれど、涙は止まらない。




「等身大の自分なんか、出来れば見せたくないもん。ずっと理解されないままなのも寂しいけど、好きな人の前くらい常にカッコいい自分でも居たい。虚勢を張っただけの嘘、今の私は責められないよ……」



小刻みに震える柴野の両肩を、私は背伸びをしてそっと指先で支えた。

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