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「とは言え、どうしたって僕には少しのチャンスすらない。諦めて真面目に調査しようと思った矢先に寝坊の一件があって裕美子さんの過去まで知ることになり、打算が働いてしまったんです……」



「打算?」



「やましいことは何もしていなかった。それだけを伝えることも出来たのに、この過去を報告したら堂場さんと裕美子さんが別れることになるかもしれないと……そう期待してしまったんです」



「そんな……」



泣きたいような気持ちに駆られ、私は口をつぐんだ。


これ以上何かを言ったら、理由の解らない涙が止まらなくなるという確信めいた予感がしていた。




「ごめんなさい、だからやっぱり僕のせいなんです。けどどうしてか、裕美子さんを前にしたらしょうもない嘘を吐いてしまって……尚且つ、それが隠し通せるとさえ思ってしまいました」

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