3


会計を済ませた私達は、タクシーを求めて駅に向かった。


頬に当たる夜風が冷たい。


そういえばクリスマスも終わったなと、レストランの時計を思い出しながら私はぼんやり思った。



「柴野君、ここから遠いの?」


「それほどでもないですよー。でも裕美子さんのアパートとは反対です」



残念ですが、と付け加える柴野に、私は軽い違和感を覚えた。


何故かはわからない。


ただ、体の芯まで凍えさせるように吹き付ける冷たい風が私の思考回路のどこかを刺激した。



何なのだろう。



一体何が、こんなにも引っかかるのだろう。




「――裕美子さん?」



ハッとして声の主を見た。


立って並ぶと、線の細い彼の背の高さを実感する。



「柴野君、さっきの同僚だけど」



無意識の内に、唇が動いた。



「どうして寝坊なんて、しちゃったんだろうね」

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