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「もしあのバーで会えたら、僕にまたチャンスをもらいたいんです。今度はコソコソ付け回した後で見つけてもらうんじゃなくて、正面きって会ってお話しして、それでまた伝えたいんです」
「でも……」
それっきり私は言葉が続かなかった。
逆接的に言ってしまったものの、私が柴野に抱いているのは好意に近いものになっていたし、誠治さんのバーがお気に入りなのは私だって同じなのだ。
「……わかった、また会えたらね」
結局私は、そう言った。
「でもズルはだめだからね! 毎日居座るとか、誠治さんから何かを聞き出そうとするとか、無理矢理は絶対、やめてね」
「当たり前です……僕だって明日から新しい仕事を探さなきゃいけないので忙しくなりますもの。 でも良かった、そう言って貰えて嬉しいです」
柴野が破顔した時、厨房から出て来たらしいウェイトレスがラストオーダーを告げた。
時刻は午前1時半を回っている。
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