2
振られた身で言うのも変な話ですけどね、と柴野は自嘲気味に笑い、手にした水を一気に飲み干した。
額に手を当てて顔を隠しながら、氷を噛み砕いている音だけを響かせる。
「本当にごめんなさい。柴野君はすごく素敵な人だと思う」
本心からそう言った。
「……本当ですか?」
「うん」
「では、一つお願いを聞いてくれませんか?」
真っ直ぐ私を見つめる目の真剣さに、私は思わずたじろいだ。
一体どんなお願いなのかと身構える。
身構えながらも、結局頷く。
「これからも、あのバーに来て下さい」
「誠治さんのバーに?」
思わぬお願いに、声が裏返る。
「はい。堂場さんとご一緒の時もお一人の時も行きつけにされていた様ですが、実は僕もすっかり気に入ってしまいまして」
柴野は人懐っこそうな笑顔を見せた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます