2
「……ごめんなさい、やっぱりまだ気持ちの整理がつかない」
柴野の顔をまともに見れなくて、私は視線を落としながら言った。
自分が想いを寄せる相手に拒絶される辛さなら今私が一番理解しているつもりだし、ましてや仕事を辞めてまで私を追って来てくれたなら尚更。
罪悪感とまではいかないにしろ、こちらにも受け入れられないなりの切なさや申し訳なさというものがあるのだ。
けれど向かいから発せられた声は、覚悟していたよりずっと明るく軽やかなものだった。
「ですよね、そうだと思いました」
そして小さく笑う。
そっと目線を上げると、吹っ切れた様な表情で水の入ったグラスに手を伸ばす彼が見えた。
「うん、OKして貰えるなんて思ってませんでしたし……それに裕美子さんが失恋直後に誰でも良いからってすぐ新しい恋に飛び付くような人じゃなくて良かったとすら思ってます」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます