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「……ごめんなさい、やっぱりまだ気持ちの整理がつかない」



柴野の顔をまともに見れなくて、私は視線を落としながら言った。



自分が想いを寄せる相手に拒絶される辛さなら今私が一番理解しているつもりだし、ましてや仕事を辞めてまで私を追って来てくれたなら尚更。


罪悪感とまではいかないにしろ、こちらにも受け入れられないなりの切なさや申し訳なさというものがあるのだ。



けれど向かいから発せられた声は、覚悟していたよりずっと明るく軽やかなものだった。




「ですよね、そうだと思いました」


そして小さく笑う。



そっと目線を上げると、吹っ切れた様な表情で水の入ったグラスに手を伸ばす彼が見えた。



「うん、OKして貰えるなんて思ってませんでしたし……それに裕美子さんが失恋直後に誰でも良いからってすぐ新しい恋に飛び付くような人じゃなくて良かったとすら思ってます」

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