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「でも、僕が仕事を辞めたのは僕の勝手です。……そんな顔しないで下さい!裕美子さんが重荷に思わなきゃならない理由なんて、絶対絶対ありませんから!もともと向いてなかったし……だから、ね?」



「そんな事言われても、はいそうですねって立ち去れるほど冷たくないわよ」



「……ですよね」



「当たり前でしょ」



確かに私に責任なんて、全く無い気がする。


けれど今ここで彼の告白までをも無かった事にして立ち去ることは、出来そうになかった。


とはいえ素直に告白を受け入れるという選択肢が今の私には存在し得ないというのもまた事実で。



「あーもう……世知辛いわね」



小一時間前、誠治さんに同意を求めた言葉を繰り返す。


但し今回のは、独り言だった。




「やっぱり、駄目ですか……?」



心なしか眼鏡の奥の瞳を潤ませて彼が問う。

私は逡巡の後、口を開いた。

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