2
「でも、僕が仕事を辞めたのは僕の勝手です。……そんな顔しないで下さい!裕美子さんが重荷に思わなきゃならない理由なんて、絶対絶対ありませんから!もともと向いてなかったし……だから、ね?」
「そんな事言われても、はいそうですねって立ち去れるほど冷たくないわよ」
「……ですよね」
「当たり前でしょ」
確かに私に責任なんて、全く無い気がする。
けれど今ここで彼の告白までをも無かった事にして立ち去ることは、出来そうになかった。
とはいえ素直に告白を受け入れるという選択肢が今の私には存在し得ないというのもまた事実で。
「あーもう……世知辛いわね」
小一時間前、誠治さんに同意を求めた言葉を繰り返す。
但し今回のは、独り言だった。
「やっぱり、駄目ですか……?」
心なしか眼鏡の奥の瞳を潤ませて彼が問う。
私は逡巡の後、口を開いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます