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「僕も……そう思いました」


「……純粋だって?」


「いえ。自分は探偵には向かないなって」



意味も無く、パルフェをかき混ぜる。


最早抹茶ジュースとなってしまったそれを、彼は器を傾けて一気に飲み干した。


初めて見た柴野の豪快な一面に、訳もなく胸騒ぎを覚える。



「だから、辞めました」



「……え」



「今日付けで会社に辞表出してきたんです。さっきから調査内容を対象者に向かってこんなに色々喋るなんておかしいと思いませんでしたか?」



「それは……思った、けど」



「だってそうでしょう? 向いてないからって理由ももちろんありましたけど、裕美子さんに僕の率直な気持ちを伝えるならこうするしかないじゃないですか……」



強い口調とは裏腹に柴野の表情は苦しげだった。

スプーンに添えた指に、彼の爪が食い込んでいく。



辞めた後でも喋るのはマズいけど、と力なく呟く探偵を前にして、私は途方に暮れた。

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