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それでも私は、好きだった。


ロクでなしのボンボンでも、なぜか私はいつも笑っていた。一緒に過ごした時間は、とても楽しかった。



出逢ったばかりの頃に彼の気を引きたくて吐いてしまった下らない嘘をどうしても訂正する勇気が出ないほどに、将来なんてものまでも期待してしまうほどに、大好きだったのだ。



なのに私は心の準備もないままあっさりと振られ、結果としてクリスマスの深夜にイマイチ素性の知れない男とファミレスのテーブルで向かい合い、何故かその男にとんでもない告白をされている。




「……柴野君さー、ガッカリしちゃったでしょ」



眉間を揉みながら私は言った。


アイシャドウの大粒のラメが、指にまぶされる。


いつもより濃いめにひいたアイラインも、そろそろ無残に滲んでいる頃だろう。



「ガッカリ? 僕がですか?」


「うん。そもそも私可愛くないけどさ、せっかく一目惚れなんてしてくれたのに中身も経歴もこんなんだったなんて」

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