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「結局アイツは会社に内緒でタダ働きをして裕美子さんの過去まで徹底的に調べた様です。それで先日ご依頼主様に調査結果の報告に伺ったらしいんですが、堂場昌幸さんのお母様はそれに満足された様子だったそうで……」
一息にまくし立てていた柴野が、はたと黙り込んだ。
今度は、恐る恐る私を見る。
「ごめんなさい、こんなことまで言うつもりじゃなかったのに……つまり一目惚れなんです。ほんの偶然かもしれないけど、僕は裕美子さんに一目惚れしたんです」
たどたどしかった口調が、強い意志を込めたものに変わる。
しっかりと私を見つめる柴野の双眸から目を離せないのに、どうしてか私の頭の中にはマサユキの事しか浮かんでこなかった。
自分の考えがどうにもあやふやな、マザコン男。
我慢ってものがちっとも出来ず、少しでも気になったものは即座にカードで買ってしまう金遣いの荒い奴。
挙げ句の果てに私の嘘を自らの手を汚さず暴き(嘘をついていた私にも非はあるけれど)、いとも簡単に恋人を捨てた器の小さい人間。
でも。
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