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「同僚が、堂場昌幸さんのお母様から息子の交際相手の素行調査についてのご依頼を賜ったんです。 でもアイツ、調査初日にあってはならない事をしでかしてしまって」
そこまで言って柴野は、ふと笑った。
何かを思い出すかの様に右斜め下に目をやり、瞬きを続けざまに3度する。
「寝坊したんですよ」
「寝坊?」
素行調査などという物々しい単語の後で、その言葉はやけに間抜けに響いた。
いい歳をした大人、しかも探偵などという職業柄笑い事ではないが、なるほど柴野が笑ってしまうのも無理はない――そう思いつつ、自分が「調査対象」として彼等に扱われていた事を思い、モヤモヤとした何かが心を覆う。
「どうやらその日は裕美子さんが休日に一人でお出掛けになると決まっていた珍しい日だったらしいのですが……寝坊をしてしまったアイツは、尾行開始に間に合いませんでした」
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