第10話 学生と与太話

久々に文章を綴ってみようか。与太話だが嘘ではない。

今回は特段何かを主張するわけでもなく、今自身が感じる全てを吐き出してみたい。


次回の更新にはこの話は消そうと思う。そのとき一瞬の感性を言葉にしておきたいのだ。



扇風機の音だけが響く私という一人の生命がおかれたこの部屋。

実に静謐な空間だ。だが、私という存在だけは逆であった。

脳内には映画のフィルムが乱雑に散らばっている。懐かしき友人、アルバイト先の目が魚のような客、隅で踞る自分。一つ一つのフィルムに目を向け始めると、腹部に強い痛みが襲われた。ブラックホールが発生に何もかもも捻り吸い込むようだ。

このまま、フィルムも吸い込んでくれるのならばどれだけ楽に生きれるのか。そんな妄想ばかりしてしまう。

妄想する自分に相反するように、現実主義者の自分が顕れる。

「いい加減に現実を見ろ、夢想家。そんなお前なんかはよ死ね。将来を見据えろ、手前が社会人となった時。そのまた先を見てみろ」

そんな声はますます大きくなるのだ。永遠に後ろから叫び声を上げている。叫び声は弓矢の矢。的の自分に一本、二本と刺さっていく。串刺しになる自分もそいつは笑い抉るのだ。

串刺しはそれは痛くて、助けてという声も届かない。そもそも声をあげることすら私という生命はできないようだ。

音をたてているのは扇風機の小さな羽音だけ。

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