第3話 学生の制服と自分

何故スカートを折るという当たり前のことを考え始めたのだろうか。

前話のように、真面目に生きようとした私が彼らに嫉妬した訳では毛頭ない。

皆がスカートを折っている姿が、どこぞの少年革命家の「ロボットに見えた」という訳でもない。

学校の最寄りに溢れる学生のスカート丈を見ると悉く短かった。季節は肌には厳しい冬だと云うのに。瞬間自分の中に一筋の光が差し込んだ。


スカートを折るのが今では普通なのか。折らない方が異端なんだ。


そう感じてしまったものだから、周りの学生のスカートの丈を気にし始めた。自身もスカートを履き、友人は折っているのだから、折っているかの判断は容易だ。 


あぁ、やはり折るのか。


観察を続けた結果に得た答えは自明のものであった。


折ることが彼らのステータスなのか、はたまた醜いアヒルの子にならないための手段なのか。


自分は彼らの立場に実際に立ち、生きているのではない。彼らから見たら自分は醜いアヒルの子。そんな、アヒルが彼らのスカートを折る理由なんぞ考えていることこそ醜いアヒルの子の由縁この上ない。


これだけは覚えていて欲しい。

彼らが物事を考えていないとは言わないし、そんな人間とは思ってもない。スカートを折ることを絶対悪だとも思っていない。ただ、自身が思うことを突き詰めようとする人間は自分の狭い学生世間では普通ではなかったようだ。



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