第2話 学生の制服

自分はスカートを折ることをしなかった。周りは1つ2つ折る。教員に指導される瞬間だけは自分と同じになった。彼らはその時だけはニコニコと友達と話すように笑う。

「センセ、あたし折ってないし。それより次の推薦会議にあたし書類だすから、宜しくお願いします」

教員も特段指導はしない。指導する瞬間に折っていないのだから。事前では折っていることが分かっていようとも指導はしない。書類だってどうせ通る。推薦だってどうせ通る。

「スカートを折ったり、髪を染めたり、化粧をしたやつ、遅刻常習犯、校則を破るやつは推薦取らせないからな」

そんな言葉を信じた自分は阿呆をみた。

「スカートを折るの我慢して、スッピンを晒したくないのに化粧我慢して、毎日学校来たよ」

友人は嘆いていた。


あぁ、そんなもんだよな。


そんなもんだよ。


真面目なやつがアホをみる。


スカートを折らなかったのはそれだけの理由ではないのだ。

折る意義が見いだせなかった。勿論折らなければ浮いた。膝より数センチ上のスカートが可愛いのか。何故折るかと聞いたことがある。


折らないとダサい。


そうか、ダサいのか。


ならば、何故ダサいのだろうか。

それを聞けば私の周りから人が消え去るのは明白だ。考えるしか外ない。


世の学生をみるとどれもこれもスカートが短い。渋谷原宿にいる今をときめくキラキラ学生、メディアにのっている可愛い学生。

それらが皆の【ダサくない】の定義なのか。

ダサくない、流行りにのっている、今時の子。


なるほど。学生世間の定義におさまっているのか。

ならば、自分ははぐれもの。


自分は折らない方が可愛いと思えるのだ。

折るメリットも実際ない。デメリットもないかもしれない。学生世間の定義のはぐれもの。


それでも自分はスカートを折らない。

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