第80話〜パーティー
…………。
さて、どうするか。
先制攻撃が成功すれば、少なくとも戦いは有利に進むだろう。
相手が反応しない安全地帯からの攻撃。
しかしその場合、こちらの予想よりも強かった場合、階層間の階段という安全地帯を失う可能性がある。
このままやり過ごすのも一つの手だ。
しかしこいつが一体しかいないとも限らない。
そこら辺を何体も徘徊しているならば、いずれ戦わなくてはならなくなる。
戦闘自体を最小限にするのは大切だが、いずれ戦わなくてはならなくなるなら、先制攻撃の有利がある今戦うべきでは?
…………。
選択肢が先制攻撃一択に傾きかけ、そこに至るまでのほんの一瞬、そして行動に移そうと脳が体に指令を出そうとしたその時、頭の中に選択肢とは別の思考が浮かぶ。
(1人で決めていいの?)
ナイフの柄に伸びかけた手が止まる。
…………。
1、先制攻撃を仕掛ける。
2、様子見に徹する。
3、ヒナに相談する。
4、後ろから抱きしめる。
…………。
再び選択肢が浮かんだ。
ヒナに相談、する?
ズキンッと頭に痛みがはしった。
首が絞められるような違和感も感じた。
それは、いや、そうか。
俺とヒナは仮にとは言えパーティーを組んでいるんだった。
1人じゃない。
「…………。」
仲間、か。
なぜか、人を信じようとすると嫌悪感にも近い何かが浮かぶ。
なぜか、裏切られることばかり考えてしまう。
しかし
(また人を信じてみよう)
(この子なら大丈夫)
頭に浮かんだ言葉が、頼る事に気付かせてくれた。
「……ヒナ」
俺は、ヒナを頼る事にした。
…………。
「なに?」
「今なら先制攻撃できるけど、どうする」
言外に様子見に徹する選択肢を含ませながらの疑問。
ヒナは考える素振りも見せず答えた。
「通り過ぎたら後ろから奇襲を仕掛ける。この先の情報がない以上、チャンスは最大限に活かす」
「了解」
ヒナも同じ考えだったか。
これまでの道中、出てきたモンスターはほとんどゾンビやグールばかりだった。
ヒナの戦い方は暗殺者なだけあって速く的確で急所のみを狙ったもの。
戦闘スタイルは互いに少しだけ似ている。
しかしヒナの方が何倍も強い。
2人とも前衛職で、スピード重視のスタイルが似通っていてはパーティーを組む上であまり
ならばここは思い切った選択をすべきだ。
…………。
1、【職業自由選択】を使う。
2、隠された力の解放→そして永遠に
3、そろそろフラグを回収しようか。
…………。
この世界に転生する上で悩みに悩んだ末に手に入れた力、使わせてもらうぞ!
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