第67話〜ダンジョンの入り口
…………。
発見されたダンジョンの入り口の一つにたどり着いた。
森の中であまりに不自然に拓けた円形の広場。
広さは大体半径10メートルほどか。
雑草も生えておらず、まるで重機でならしたかのように平らで、固められた地面。
コンパスと定規で測ったかのように、この空間だけが円柱の範囲で入れ替えられたような印象を受けた。
その中央には明らかに人工物だと分かる、高さ5メートルほどのモニュメントがあった。
材質は岩石のようだが継ぎ目はなく、黒曜石のような色と光沢で、触ると冷たくも温かくもない。
一見すると苦悶の叫びを上げる人の顔にも見える、不快感と恐怖を感じるような入り口だった。
…………。
入り口は複数確認されたらしく、パーティー単位で分担しての調査となった。
ということで、現在俺は宵薔薇の乙女の4人と一緒なのだが…
道中、何体かのゾンビがいたが、ほぼ瞬殺だった。
宵薔薇の乙女の連携は完璧と言っていい。
ヒナが索敵をし、近づく間もなくラナンさんが弓矢で正確に射抜いて足止めをし、ミーシャさんが魔法で燃やし尽くす。
パーティーリーダーの出る幕すらない。
さすがC級冒険者パーティーだ。
これでまだ全員揃っていないのだから恐れ入る。
しかし困った。
できるなら雑魚は倒して少しでも経験値が欲しかったんだが…。
…………。
1、戦闘に参加させてもらう。
2、観察するに努める。
3、隙を見てダフネを鑑定する。
4、抜け出して単独行動。
…………。
「ダフネさん、お願いがあるんですけど…」
「あら、何かしら?」
「俺も戦闘に参加させて下さい!」
「戦闘に?」
少しでも経験値を得るために戦闘に参加させてもらおう。
心のどこかで、信じられるのは自分の強さだけだという思いがあった。
ここに来るまでにも一応は戦える姿は見せてきたし、断られることはないと思うが…
「確かにあなたの腕ならゾンビ程度だったら問題ないわね」
「じゃあ…!」
「でもダメよ」
「え……?」
まさかの上げて落とされた気分だ。
「あくまであなたは同行してきた一般人。冒険者ですらない人を戦闘に参加させるわけにはいかないわ」
あくまで道中の戦闘は自衛の範疇だった。
本当はここまで連れてくるのも反対だったのだろう。
…………。
よくよく考えてみれば厄介払いにしてもあの街の奴らは悪辣すぎる。
こんな子供を冒険者に押し付け、危険だと分かる現場に送り込むなんて。
本当に、大人は信用ならない。
この世界の人間は信頼しちゃダメだ。
ーーーも、いつか必ず復讐して……
「あなたにはここにヒナと一緒に残ってもらうわ」
一瞬ぼうっとしてしまった。
戦闘に参加できないどころか置いていかれるのか。
それは予想外だったが、確かに考えてみれば納得は、できるか?
不服だったのかヒナがダフネにくってかかった。
「ダフネ、ダンジョン内には斥候役が必要。未発見のダンジョンにはどんな罠があるか…!」
「ヒナ、あくまで今回の依頼は、アンデットの討伐と原因の調査よ。念のため中の様子は確認するけど、本格的な攻略ではないし、その準備はしてない。少しの間だけこの子を見てて」
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