第61話〜アンデッド
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その後、付近の村などに向かった兵士たちが戻るまでにアンデッドは出なかった。
アンデッドは同じ場所に集まる習性はあるが、それは大概がアンデッド発生時の瘴気の濃度によるもので、その濃度がアンデッドの行動範囲でもあるそうだ。
だから基本的に低位のアンデッドはふらふらと遠くへと移動することはない。
高位のアンデッドならば自我が芽生えて移動する事もあるらしいが、それでも住みよい環境である瘴気の濃度が濃い場所から遠く離れようとはしない。
それでも稀に瘴気の薄い場所にアンデッドが現れる事もあるらしいが、それは本当に稀な話で、生者を追いかけるアンデッドも瘴気が薄まれば諦めることの方が多い。
群れているように見えてもそれは結果だ。
そう聞いた。
ちなみにヒナさんに、ではない。
彼女はファーストコンタクトの時から必要最低限のこと以外は話さなかった。
それはさておき。
つまり最初に遭遇したアンデッドははぐれではない。
偶然はぐれが集団で移動するなんてことはないので、なんらかの要因が存在するわけだ。
…………。
さて、実の所、俺はここまで来る道中でレベルも上がり、子供であることを前面に出して色々と話を聞いて回った。
おかげで正直なところ基本的な知識は得たし、このままこの集団について行く必要性も無くなってしまったのだ。
そもそもここまで来たのも成り行きだし、最低限の安全を得られるだけの知識と実力も得た。
切り札の【職業自由選択】も使えるし、奥の手はまだ使ったこともないし、ジョーカーはまだ使えもしないわけだけど……。
…………。
1、なんか嫌な予感がする。ここで離脱しよう。
2、これはフラグだ!このまま付いて行こうか。
3、メインヒロインは誰だ?攻略フラグを探す。
4、さて失った記憶を探すための旅に出ようか。
…………。
嫌な予感、そう、嫌な予感だ。
直感でしかないが、何となく嫌な予感がするのも事実だ。
無くなっている記憶。
たまに頭に浮かぶおぼろげな記憶。
アンデッドの発生と異常行動。
客観的に考えるならばここで離脱する方がデメリットは少ない。
けれど頭の片隅でこれがフラグであると言う感覚もある。
なぜなのか理由を言葉にするのは難しいが、行くことで何かがつかめる気がする。
あとは……。
なんとなく、1人にはなりたくない。
けれど、誰かに心を開くことに強い忌避する自分がいる。
森の中で意識を取り戻してからそうだ。
たまに俺の頭の中で知らない自分が囁く瞬間がある。
どうすればいい?
正常な判断ができないうちは、彼女たちについて行ったほうが身の安全的にもいいのかもしれない。
けれど、これから向かう先こそ危険の根源である可能性が…。
ダメだ、考えがまとまらない。
クールになれ。
どうするのが最適なんだろう。
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