第59話〜感動?の再会

…………。


合計10体ほどのアンデッドはそれほど時間がかからずに始末された。


バラバラにされた死体は等間隔に置かれ、魔法の炎で灰になるまで焼かれていく。


「おかしい。まだ予定地よりだいぶ距離がある。行動範囲が広すぎるわ」


ミーシャは地図を広げて兵士の何人かと話していた。


「この近くに村とか集落はあるかしら」


「名前もないような小さな村が二つほど、ここから半日ほどの距離にありますね。集落に関しては認可にないものがいくつか」


「先発組と合流しないうちから戦力を分散するのはあまりいい手とは言えないけど、もし特殊個体や死霊術師がアンデッドを操っていたら被害が拡大するわ。見張りと捜索に組を分ける。先発組へは足の速いバネッサとイルが行ってちょうだい。この辺の地理に詳しい兵士はそっちに当たって」


三十名ほどで構成されていた後発組がすぐに四つの組に分けられる。


村を回る兵士の二つ組。


見張り兼捜索の残留組。


そして先発組に連絡するための冒険者組だ。


…………。


「最初の一体、あなたがやったのね」


兵士や冒険者たちが慌ただしくする中、俺だけは特にやることもなく邪魔にならない位置で静かにしていた。


すると指示を終えたミーシャがやってきた。


どうやら見られていたらしい。


まぁ証拠ナイフも残ってたしな。


「はい。目は良いんですよ」


「そう、投げナイフもいい腕だわ。この後、警戒の補助に回ってもらってもいいかしら?」


「分かりました。ついてくだけじゃ居心地悪かったんで」


「ありがとね」


頭を撫でられた。


22歳で美人のお姉さんに。


ミーシャさん、何気に胸がでかいし、頭を撫でられた時に見えた谷間は素晴らしい渓谷だった。


うん、子供の役得役得。


「回収したナイフは同じ警戒組のメイに渡しておいたから。それじゃあ無理をしないようにね」


…………。


警戒に付いてるのは《宵薔薇の乙女》の1人らしい。


場所は少し離れているので、ミーシャさんと別れて歩き出す。


「……っ」


ちょうど中間の辺りで反応があった。


これは【危機察知】か。


反応は最初にアンデッドが出てきた方とは逆側から。


距離的にまだ警戒に引っかかってはいないみたいだ。


アンデッドは思ったより動きは速いが、生前ほどではないので狩りやすい。


まだレベルも心許ないので経験値にしてしまおう。


道を外れてしばらくすると、アンデッドが現れた。


どうやら一体だけのようだ。


所々喰われた痕跡が生々しい商人風のアンデッド。


初老で、もとは結構ふくよかな体型だったみたいだな。


お、こっちに気付いたみたいだ。


風上にいたからか?


なぜかこっちに向かって両手を広げながら走ってきた。


『……ァ……ぃ……!』


「グロッ!」


手早くナイフを投擲する。


首を貫いたお陰でアンデッドは倒れて呻くだけだ。


『ァたぃ…ぃな…』


ん?


何か話してる?


そう言えばアンデッドは生前の行動を模倣するらしい。


とりあえずとどめは刺しておこう。


こちらを見て何か言っているアンデッドの頭を近くに落ちていた手頃な石で潰す。


お、ちょうどレベルが上がったみたいだ。

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