第58話〜【鑑定眼】

…………。


はい、絶賛馬車に乗ってます。


しかも針の筵って程でないにせよ、少し居心地の悪い雰囲気。


周りはみんな兵士か冒険者。


子供なんてほとんどいない。


一番年が近そうでも13歳以上の成人した人ばかりだ。


そんな中に皮鎧や装備すら身に付けていない子供がいたら、なんだあいつは?って反応が返って来るのは当然だよね。


まぁ頭の中身も15歳だからあまり変わりはない気がするけど、この世界の成人年齢からすると微妙なところだ。


「ごめんね。あなたと同じくらいの子も居たんだけど、アンデッドを振り切るのに力を使い果たして宿で休んでるのよ」


歓迎されていないムードに気落ちしていると、冒険者風の装いをした綺麗なお姉さんが話しかけてきた。


確かこの人は《宵薔薇の乙女》の副リーダーをやってる…


「ミーシャよ。あなたの事は聞いてる。辛い思いをするかも知れないけれど、我慢できなかったらすぐに言ってね」


ーーーーーーーーーー。

種族:人族(♀22歳)

名前:ミーシャ(◾️◾️◾️=◾️◾️◾️=◾️◾️◾️)

階位:38

職業:魔術師

状態:


腕力:C 体力:D

魔力:B 知力:B

敏捷:C 器用:C

運勢:D

ーーーーーーーーーー。


街にたどり着くまでに【観察眼】がMAXになったことで発現した【鑑定眼】を発動する。


【鑑定眼】の良いところはどうやっても見ただけでは知りようのない情報も得ることができる点。


まぁ【観察眼】の上位スキルだ。


しかしながら常に発動している【観察眼】と違って意識して発動しなければいけないのが面倒だ。


それとなく聞いたところによると、スキルの発動が感知されてしまう場合もある上に、貴族や王族などに無断で使用すれば問答無用で重罪、その場で殺されることもある。


なんとなく【観察眼】のおかげで、警戒心の強さとかが分かるので、ミーシャに【鑑定眼】をかけてみたが、確かに危険なスキルだ。


まだ視ることのできる情報量は大した事はないが、それでも厄介そうな情報がありそうな事を知ってしまった訳だし。


また【◾️◾️◾️◾️】だよ。


…………。


リーダーのダフネは先発組で戦闘力の高い者は少しでも多くのアンデッドを狩るために前進しているそうだ。


後発組は直接的な攻撃力の劣るサポート組。


それを指揮するための副リーダーのミーシャか。


「さらに後発で僧侶達が来るわ。アンデッドはバラバラにして日にさらしておけば数日なら大丈夫よ。逆に一箇所に集めちゃうと同化して高位のアンデッドに進化する場合があるから気を付けて!」


なんで複数に分けるのかは話を聞いていて何となく分かった。


アンデッドは行動範囲が狭いが、生物を襲いその領域を不浄なものに変えていく性質があるため、即戦力かつ行動力のある冒険者をまず送った。


それからサポートに後発組と兵士。


それから出足の遅い僧侶とその護衛。


距離もあるし、緊急性がないから固まって移動だった訳だ。


…………。

…………。


視界の隅で動くものがあった。


暗がりで、入り組んだ森の中で、前半で戦闘があっても、LvMAXの【観察眼】からは逃れられない。


近接距離まで近寄って来る前に投げナイフで始末する。


アンデッドだ。


アンデッドは燃やすか浄化しないといくらでも復活するらしいが、一応は脳で判断して手足を動かしているらしい。


なので脳髄を貫通するようにナイフを当てた。


『ぅア゛ァァアァ!』


アンデッドのうめき声が響く。


「敵襲!」


すぐに見張りの声が上がり、冒険者たちが飛び出していく。


アンデッドは一体じゃない。


森から次々と姿を現した。

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