第54話〜【◼️◼️◼️◼️】
…………。
…………。
地面に残された足跡を頼りに前へと進む。
幸いなことに、ここはあまり深い森ではなかったらしい。
軽くだが人の手が入った痕跡があり、木々の感覚も狭くない。
スキル【追跡】のお陰か足跡以外にも痕跡を見つけることが出来るので、迷うことはない。
いや、それ以前にまるで視界が大きく広がったみたいに、世界がよく¨視える¨。
人の手の入った道に出るまでそう時間はかからなかった。
…………。
あの覚えのないステータスを見て、正直驚いた。
スキルの熟練度は段違いに上がってるし、レベルもあがっていた。
あの【◼️◼️◼️◼️】というスキルとかは分からないままだが、大幅に能力が向上しているのは間違いない。
クールになろう。
現状を受け止めよう。
記憶が朧げながらもあるのは左手を食い千切られたあたりか。
そこから何があったのかは分からない。
不思議とそこまで混乱はないけれど、¨分からないこと¨があると少しモヤモヤする。
けれど冷静に優先順位をつけていくならば、現状の把握が終わった今、生き残ること、この森からの脱出及び人の生活圏に向かうことが重要か。
おそらくはスキル【不死者】によって下がった体力を考えると、能力が全体的に向上していても時間をかけるほどに命の危険が増すことだろう。
…………。
足跡を辿っていくと、期待通りに広めの街道に出た。
どちらかに進もうと、どこかしらの人のいる場所にたどり着ける。
それが近いか遠いかの違いでしかない。
久々に脳内選択肢が頭に浮かぶ。
1、こちらから見て右の方向に進む。
2、こちらから見て左の方向に進む。
3、あえて直進し、道無き道を進む。
4、馬車が通りすがるのを待つ。
5、来た道を引き返す。
…………。
とりあえず道無き道の前進も元の場所への後退も無しだ。
地理も分からないのに森の中を前進するには体力も装備も備えも何もかもが足りない。
モンスターと遭遇しなかったことを幸運に思わなければ。
馬車が通りすがるのを待つというのも現実的ではない。
というか待っていたところですぐ通りかかるか分からないし、運任せにも程がある。
それならばどちらかに進みながら馬車か何かと行き合う方がいい。
……まぁ体力だけが不足してる現状を考えれば、一考の余地はあるか。
…………。
右の方向に進もう。
左の方向はなぜか嫌な予感がする。
これはスキル【危機察知】によるものだろうか?
不意に頭に数十人規模の死体の山がビジョンとして浮かぶ。
「え?」
その明確なビジョンはまるで見てきたように鮮明に頭の中にある。
これは無くなっている記憶と関係が?
いや、直感だが、それとは違う気がする。
もしかしたら【◼️◼️◼️◼️】のスキルのうちの一つが関係しているのかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます