第20話〜ベル
…………。
さて、
1、はたき落とす。
2、捕まえて高値で売る。
3、「わぁ妖精さんだ!」とはしゃぐ。
4、とりあえず話しかける。
5、手に持って逆さにし、パンツチェック。
どうするか。
…………。
うん、なんか嫌な予感がするから、はたき落としたり捕まえるのはやめよう。
それにはしゃぐのは……ちょっとないな。
パンツチェックは人としてどうなんだろう?
そもそもなぜこんな選択肢が頭に浮かんでくるんだ?
自分のことが思い出せないけれど……。
思い出したいような、思い出したくないような。
なんか昔フィギュアのパンツチェックについて熱く語る知人がいた気がするが、実行したら間違いなく終わる。
というか妖精だし。
というわけで、とりあえず話しかけよう。
…………。
『あの……?』
「ああ、ごめんね。ちょっと考え込んでて」
先に話しかけられてしまった。
『いえ!えっと、いろいろと話さないといけないこととかあるんですけど……』
妖精さんは『あわわ』と少し慌てたような様子で手足を動かした。
キョロキョロと落ち着きもない。
『とりあえず移動しましょう!ここは一応安全地帯なんですけど、人避けの効果があるのは転移から一定期間だけで、あ、でも別の安全地帯までは少し移動しなくちゃ、けど、えっと…』
「ちょっと落ち着こうか。すぐここを移動しないとまずいの?」
『は、はい!』
頑張り屋だけど空回りしがち、そんな雰囲気がする。
妖精さんの誘導で移動することになった。
…………。
最初に目覚めた場所は古びた神殿の一室のような雰囲気の部屋だった。
床には薄汚れていたが絨毯が敷かれていたお陰で、体が痛くなったりはしていなかったのは助かったな。
神殿風の通路を移動する道すがら、妖精さんがいろいろと説明をしてくれた。
『えっと、改めまして、私は支援妖精(サポートピクシー)のベルと言います。管理者様から、あなたのサポートをするよう言われています』
「管理者、っていうとあの適当な奴のことか」
『か、管理者様のことを悪く言っちゃダメですよ!あの方はこの世界の神様のうちの一柱なんですから!』
「はぁ⁉︎神様?」
『はい。あれ?一通りの説明、というか事情は参加者プレイヤーの方ならクリアと同時に直接記憶にダウンロードされているのでは?』
「いや、俺はなんか繰り上げ合格というか、補欠要員としての合格らしくて」
事情を説明するとベルはなんとも言えない表情になった。
なんでもあの男、ベイオルフというらしい、は管理者の中でも¨少しだけ¨大雑把な性格をしているらしい。
『えっと、主に代わりまして、謝罪申し上げます…』
浮いて移動したまま、器用に腰を折って頭を下げてきた。
幼い見た目だが、苦労してそうな雰囲気がする。
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