第19話〜サポートピクシー

…………。

…………。

…………。

…………。


『………ぃ』


声が、聞こえた。


『……さい』


頭がぼーっとする。


意識がはっきりしない。


暗闇の中にいるようだ。


しかしそれがなぜか安心できる。


『…てくだ…ぃ…』


まるで水面に揺蕩(たゆた)う葉っぱにでもなったみたいだ。


なぜか不思議と安らげる。


このまま寝てしまいたい。


そうしたら水にとけるように気持ちよく眠れそうだ。


『いい加減起きないと……に見つかって……れちゃいますよ』


うるさいな。


誰かが耳元で何かを言っている。


そのせいで少しずつ意識がはっきりとしてきてしまった。


水面から深く底へと潜りかけていた意識が、再び浮上していく。


暗転していた視界に光が見えてきた。


ああ、目覚めたく、ないなぁ…。


…………。


『起きてください!』


「うぉ⁉︎」


寝起きに耳元で大声で叫ばれ、変な声が出た。


飛び起きると、そこは広々とした部屋の中だった。


まだ頭がぼーっとするが、無意識に辺りを見渡して情報を集めようとする。


『や、やっと起きました…』


しかしそんな声がすぐそばで聞こえたのでそちらを向く。


するとそこにはよく分からないものがいた。


どう表現すればいいだろうか?


第一印象から率直に言えば、それは妖精のようだった。


全長は約15センチほど。


見た目は縮尺を縮めた人間の姿だが、その背中には半透明の葉っぱのような羽が4枚ほどあり、時折ピクリと羽ばたくような仕草をしている。


性別はメス……女性?


見た目は小学生ほどの幼い外見をしている。


新緑を想起させる若葉色の長い髪に、澄んだ泉のような蒼い瞳、そして処女雪のように白く透き通った肌。


着ているのは透明感と艶のある絹のようなゆったりとした布。


よく見れば植物でできた輪っかのようなものを手首と足首につけている。


幼女趣味(ロリコン)であれば間違いなく鳥籠に閉じ込めて部屋で飼いたいと思ってしまうほどの美少女(美幼女?)だ。


どう見ても妖精さんだった。


そんな妖精のような何かは胸に手を当て、安堵の息を吐いた姿勢で目線の高さに浮いていた。


…………。


ふむ。


1、はたき落とす。


2、捕まえて高値で売る。


3、「わぁ妖精さんだ!」とはしゃぐ。


4、とりあえず話しかける。


5、手に持って逆さにし、パンツチェック。


どうするか。


…………。


うーん。


どうしたものか。


『えっと、あの…?私のことじっと見つめてどうしたんですか?』


フィギュアのパンツチェックは紳士の嗜みだと聞いたことがある。


『うぅ…。そんなに見られると恥ずかしいのですが…』


よし。

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