第11話 デートの終わりとヤツの情報

お見上げ物を買った後に、また色んなところを見回って水族館を出た。


『ん〜〜〜・・・・・・スイゾクカン楽しかったぁ!』


リタはそう言いながら背伸びをした。


「本当、夢のようなひとときだったぁ」


セリアはセリアでとっても喜んでいた。


「喜んでくれて何よりだ。姉さんを呼ぶけどいいかい?」


『いいよ!』


「うん!」


2人の返事を聞いた後にスマホを取り出して姉さんに電話を掛ける。


「もしもし姉さん。今水族館から出た。え・・・・・・あ、そう。わかった、じゃ」


そう言ってから電話を切る。


「姉さん10分ぐらいでここに来るみたいだ」


『え、そうなのぉ?』


「ああ」


「もう少し時間が掛かった気がしますよ」


そうだ。確か30分程度掛かった気がするんだよなぁ〜。もしかしたら姉さんは、ここら辺で観光していたとかないよなぁ?


「う〜ん、ここら辺に観光地なんてあったか?」


「ねぇコウヤくん。お空に不思議な物が飛んでいるよ!」


「ん? 不思議な物?」


空を見上げて見たら、誰しもが知っている乗り物が飛んでいた。


「ああ、飛行機の事か」


「ヒコウキ?」


「ああ、あれは乗り物でたくさんの人をあの中に乗せて飛ぶんだよ」


「へぇ〜、そうなんだぁ〜!」


確か航空会社が所有している飛行機になると、収容人数は100人ぐらいだった気がする。


『コウヤ、あれに乗ってみたい!』


「遠くに行くときに乗ろうじゃないか」


今のところその予定はないから期待の眼差しを向けないでくれ。


「そういえば、明日から学校が始まるみたいだな」


「そうだね!」


「どんなことを教えてくれるのか、楽しみだなぁ」


魔法学園だから有名な映画のように魔法を使って様々な魔法を覚えたり、魔法について勉強をしたりするんだろうなぁ。一部普通の授業もあるみたいだけどさ。


「ねぇコウヤくん」


「ん?」


「私がこう言うのも何だけど、正体がバレないように気を付けてね」


「ああ、そこのところは気を付けるつもりさ」


何たってバレた暁には、どうなってしまうのかわかったもんじゃないからな。常に警戒していないとな。


『ねぇ、あれコハルのクルマじゃない?』


リタが指をさす方向を見てみると1台の車がこっち向かって来ていて、話す為かサイドウィンドウを開いて側まで来た。


「お待たせ。さぁ乗って!」


『了解!』


「ありがとうございます。コハルさん」


「姉さん、ありがとう」


返事してから車に乗ると、すぐさま自分のシートベルトを閉めてセリアの方もやろうとしたのだがぁ・・・・・・。


「あの、セリア」


「エヘヘ〜、コウヤくんの見て覚えたんだぁ!」


「それはそれでいいんだけどさぁ・・・・・・」


「どうしたの、何か変なところがあった?」


変なところというか、そのぉ〜、目のやり場に困ると言うかねぇ。


「セリア、パンツ見えてるよ」


透過を解いたリタの指摘した通り、座る時にスカートを整えるのを忘れていたのかスカートのお尻部分が見えているのだ。因みに色は薄いピンク色。


「ッ!?」


セリアは慌てたようすでスカートを整えると、涙目で俺の顔を見つめて来る。


「・・・・・・コウヤくん、見た?」


「あ、そのぉ・・・・・・ゴメン」


俺がそう謝罪をすると、彼女は真っ赤な顔させて手で覆った。


「・・・・・・もう、お嫁に行けませぇん」


「本日2回目のセリフだね!」


楽しそうに言うなよ! セリアを慰めろよお前!


「えっ!? 何? 水族館の中で洸夜が何かやらかしたの?」


「セリアがトイレに行ったときに流すボタンと間違えてウォシュレットボタンを押して大変な目に会ったんだぁ!

セリアの悲鳴が店内に聞こえて、店員が飛んで入って来たよ!」


「あらまぁ! それは大変だったねぇ!」


おいコラお前らセリアの顔を見てみろよ。恥ずかしさの余り泣きそうになっているじゃねぇか!


「まぁこれも人生経験だから、そんなに気にしなくてもいいんじゃないかしら?」


「うぅ〜・・・・・・」


「それにぃ〜、洸夜がパンツを見た件はちゃんと責任を取らせるから安心しなさい」


「責任?」


そう言いながら俺の顔を見つめると、今度は目を回して混乱し始めた。


「コ、コウヤくんに責任。け、けけけっ、けっこ、けこけここけっこ!?」


ニワトリのモノマネか?


「まぁ、からかうのはこの辺にしておきましょうかぁ」


「そうだねぇ。それよりもこれ見てコハル!」


リアはそう言いながらアザラシの人形を取り出して姉さんに見せた。


「へぇ〜、アザラシの人形ねぇ〜」


「うん、コウヤが買ってくれたんだぁ!」


「そうなの。洸夜、私の分は?」


「姉さんは縫いぐるみを集める趣味なかったろ? だからお菓子を買って来た」


そう言って見せたら、姉さんはバックミラー越しに見た後に喜びの顔をさせる。


「わかってるじゃない洸夜。ところでもう1つの袋はお父さん達の?」


「いんや、セリアの両親ように買った」


「コウヤくんに、縫いぐるみを買って頂きました」


セリアはそう言うと、ペンギンの縫いぐるみを姉さんに見せた。


「よかったわね。セリアちゃん」


「はい、このお人形大事にします!」


セリアはそう言うとペンギンの縫いぐるみをギュッと抱きしめた。


「そういえば洸夜、セリアさんからセリアって呼び捨てするようになったのね」


「ああ、セリアから呼び捨てして欲しいって言われたからな」


俺がそう言うと姉さんは ふぅ〜ん。 と意味ありげな顔をしていた。


「何か企んでないか姉さん?」


「別に、何も企んでないわよ。本当に」


姉さんを不審に思っていたら、家に着いてしまった。


「洸夜さん、お待ちしておりましたぁ〜!」


「いやいやぁ、そのようすじゃと水族館を楽しんで来たみたいじゃのぉ〜」


「ティアラ様、それにゼウス様も! どうしてここに?」


「タイミングを見計らって来たのじゃよ」


あ、もしかして俺達のようす筒抜けだったのか?


そう思いながら車を降りて、ティアラ様達の元へと行く。


「まぁお見上げに関しては期待してなかったからのぉ、謝らんでええぞぉ」


そういえば、ゼウス様達の分を忘れていた!?


「あ、その、すみませんでしたぁ!?」


「別に頭を下げなくてもいいですよぉ〜、私達はこれっぽちも気にしてないので、気にしないでくださいねぇ〜」


「そうじゃ、気にせんでええよぉ〜」


いや、言い方が気にしてるようにしか聞こえないんですけど!


「それはそうと、コウヤさん。あの校長の居場所がわかりましたよぉ〜」


「え、本当ですかぁ!?」


あのハゲ校長が行方を暗ませてから約20日、一体何処で何をしていたのか気になる。


「南シナ海にいるみたいじゃ」


「・・・・・・はい?」


南シナ海って答えられたので、何処? って思ったけど 東シナ海なら聞いたことがある。と思ったところで場所を思い出した。


「フィリピンにでも逃亡する気ですかね?」


「ん〜・・・・・・違う感じじゃのう」


「そもそも、南シナ海にいるってことは、海外に逃亡している最中でしょ? それに出国手続きされてないのに、ハゲ校長が南シナ海にいることがおかしいと思わないの?」


言われてみれば確かにそうだ。警察だって国外逃亡を警戒していた筈なのに、国外にいるなんておかし過ぎる。


「どうやらダバクさんは、何処かに国に密入国しようとしているみたいなんですよぉ〜」


「「密入国?」」


『え、でも。密入国してもバレるんじゃないの? ほら、パスポートとか言う身分証がないとダメって』


「そうだよな」


パスポートは日本人であるという証明であり、正式な手順を踏んで入国したという証明にもなる。


「偽装パスポートで誤魔化すつもりか?」


「それでも限度っていうのがあるわよ」


まぁ確かに、1日2日ならとにかく2週間滞在していたら怪しまれるに決まっているよな。


「とにかく、何処にいるのかわかっただけでよかろう?」


「まぁそうですね」


いずれ日本に戻って来ることがあるかもしれないから、制裁を下すのは待とう。


「話もまとまったところで、セリアさんをご自宅へ連れて行きますねぇ〜」


「そうじゃのう。お嬢ちゃん、忘れ物はないかのぉ?」


「あ、はい。大丈夫です」


うん、俺が渡した縫いぐるみとお見上げを持っているから大丈夫そうだな。


「それじゃあセリア、また明日学園で会おう」


「うん、また明日ね。コウヤくん」


「また明日ねぇ〜」


こうして、セリアはティアラ様達と共に異世界へと帰って行ったのだった。

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