第10話 洸夜からのプレゼント

「ハゥ〜〜・・・・・・」


顔を真っ赤にさせて俯いて席に座っているセリア。


「セリア、大丈夫か?」


「もう、お嫁に行けません」


何故セリアがこうなってしまったのかを説明すると、セリアが食事を終えたところで トイレに行く。 と言っったので使い方説明役のリタと共に入っていたのまではよかった。

用を済ませた後に 流す というボタンではなく ウォシュレット というボタンを間違えて押してしまった為に、悲鳴を上げてしまったのだ。そして現在では恥ずかしい思いをしている状態。


ま、まぁ服が濡れなかっただけマシだと思うけどさ、やっぱり他のお客さんに悲鳴を聞かれたのは気まずいよなぁ〜。


『あの・・・・・・ゴメンね、セリア』


リタも流石に申しわけなさそうな顔でセリアを見つめている。


「リタさんのせいではないので、気にしないで下さい」


泣きそうな顔でそう言われると、余計に罪悪感を感じてしまう。


「も、もう少しだけゆっくりしてからにする? 今から他の水槽も見に行くか?」


「も、もうお外に出ましょう!」


「そ、そうか。じゃあ外に行くか!」


俺達は立ち上がりレジへと向かうが、セリアが内股気味でぎこちなく歩いているので大丈夫かと心配になる。


「お、お会計をお願いします!」


「あ、はい! 手作りハンバーグ、ドリンクバー付きが2つで1986円です」


2000円を渡してお釣りを受け取ると、レジを打ってくれた女性が あっ!? と気付いたようすを見せてから話し掛けて来た。


「1時30分からイルカのショーがあるので、そちらに行かれてはどうですか?」


「あ、いいかもしれない」


ショーは面白いし、セリアの何よりも気分転換になるからいいかもしれない。


「『イルカのショー?』」


「ああ、イルカが飛び跳ねたり、飼育員さんと一緒に色んな事をするんだ」


『コウヤの説明下手だけど、見てみたい!』


うっさいな! 俺だってどうショーを表現すればいいのかわからねぇんだよぉ!


「よくわからないけど、ショーを見てみたい」


「うん、わかった。行って見るとするか。店員さん、ありがとうございます」


「いえいえ、こちらこそご利用ありがとうございました。またのご利用をお待ちしております!」


お店の外に出るとパンフレットを開き、イルカのショーが何処でやるのか確かめる。


「お! あそこの建物がイルカのショーをやるらしい」


そう言って左側にある大きな建物を指をさすと、2人建物を見て オオーッ!? と感心した声を出した。


「あそこでイルカのショーが見れる・・・・・・」


『楽しみぃ〜』


2人は楽しみなのか、建物を見つめてながら目を輝かせている。


「そんじゃあ、行こうか」


「うん」


『オーッ!?』


2人と共にイルカのショーが行われる建物の中に入ったら、2人はまた歓声を上げた。


「イルカがピョンピョン飛び跳ねてる!」


『しかも手をパタパタさせて、バイバイってやってる! 可愛い!』


ショーの前の事前練習なのか、イルカ達が思い思いに跳んでいる。


「とりあえず、席を取ろうか」


「うん!」


ちょうど前列が真ん中が空いていたので、セリアと隣同士でそこに座る。


「後10分でショーが始まるから、待っていようか」


「う、うん・・・・・・」


何故か隣にいるセリアは恥ずかしそうにモジモジしている。もしかして、まだウォシュレットの件を気にしているのか?


「ん?」


セリアは何といきなり腕に抱き付いて寄り掛かって来たのだ。


「コ、コウヤくん! 、こうしていても・・・・・・いいよね?」


「え、あ、ああ。構わない」


その上目遣いが卑怯だ!


『ねぇねぇコウヤ! あれもイルカなの?』


「え、ああ! あれはイルカじゃなくアシカっていう動物なんだ」


『アシカぁ? アザラシじゃなくて?』


「ああ、さっき見たゴマフアザラシと違う種類だ」


確かそうだった気がする。


「あ、でもスゴイ! 人の動きを真似しているよ!」


飼育員さんの動きを真似している。


なるほどぉ・・・・・・ショーの前の盛り上げ役なのかもしれないな。


『もう間もなくイルカショーが始まります!』


「そろそろ始めるみたいだ」


「えっ!?」


『待ってましたぁ!』


飼育員のお姉さんの こんにちわぁ!? から始まって、イルカやアシカやトドが様々なショーを見せてくれて会場は大盛り上がりして終わった。


「楽しかったぁ〜!」


「そうだなぁ〜」


『アシカってボールであんなこと出来るんだぁ〜。私も飼いたいなぁ〜』


リタ、それは無理だと思うぞ。


「向こうに売店もあるから、ちょっと見てみようか?」


『賛成!』


「う、うん」


ショーをやった建物の隣にある売店の中へと入って行くと、リタがぬいぐるみの側へと跳んで行く。


『コウヤ、何これ可愛い!』


ぬいぐるみに興味深々だなぁ。


「綺麗な宝石がある! こんな風に売っていいの?」


宝石というよりも、樹脂で作られたアクセサリーなんだけどぉ・・・・・・説明をして理解してくれるか?


『これ、食べ物だよね!』


「フワフワな生地の中に黒い豆が入っているの? これ、食べれるの?」


2人共おまんじゅうに興味津々になっている。


「うん、甘くて美味しい食べ物だ。ご両親の買って行ったらどう?」


「え? 私お金持ってないよ」


「ああ、俺が出すから気にしないでくれ」


姉さんからお金を持つように言われたしな。


「そ、そう? じゃあコウヤくんのお言葉に甘えて、1個だけ」


セリアはそう言って箱に手を伸ばすが、俺はその手握ってを止める。


「セリアが取ろうとしているのはサンプル品って言って中身どうなっているか見せる為の物だから、中身開けても食べられないぞ」


つーか、買うことも出来ないしな。


「え、そうなの?」


「ああ、だからその下にあるのが商品だ」


そう言ってサンプル品の下で積み重なっている箱を1つ取り出して、カゴの中へと入れる。


『こっちの方は、食べられないんだ』


「こっちのサンプル品の方は、粘土とかを使って本物そっくりに作られたヤツなんだ。まぁ、中身がこんな風になってますよぉ〜。って見せる為の物と説明すればわかりやすいか」


「『へぇ〜』」


「あっちの縫いぐるみを見てみようか」


今度は縫いぐるみが置かれているカウンターへと向かうと、流石は女の子って感じで目を輝かせていた。


「これ、さっき見たアザラシ!」


『ねぇねぇ! こっちにはジンベイザメがあるよ!』


「あ、ホントだぁ! ペンギンもいる! 可愛い〜〜〜!?」


『こっちのイルカも可愛い〜〜〜!?』


2人は俺を置き去りにして、キャッキャッウフフと楽しんでいる。そんな中、俺は60cmぐらいの大きさのコウテイペンギンの縫いぐるみと30cmぐらいの白いゴマフアザラシの縫いぐるみ、それに姉さんへのお見上げのお菓子をカゴの中へと入れた。


「何か買いたい物はない?」


「ん〜・・・・・・私は特に何もないかなぁ〜」


『ペンと消しゴムぐらいならいいんじゃないの? セリア欲しがっていたし』


そうなのかぁ。もしかして羽ペンにインク主流なのか?


「普通のペンと消しゴムなら、比較的に安いから何時でも買ってあげられるぞ。それノートも欲しいって言うのなら買うし」


「そ、そこまでしてくれなくても、別にいいよぉ」


「そっか、欲しいって思ったら何時でも言ってくれ。すぐに買えるから」


そう言った後にレジに行き、カゴに入れた商品を精算して貰うのだが、2人は不思議そうな顔をしていた。


「あれ? コウヤくん、何で縫いぐるみを買っているの?」


『わかった! コハルの為に買ったんだね!』


「ああ、セリア達に渡す為に買ったんだ」


『「えっ!?」』


俺が言った言葉に驚いたようすを見せる2人。


「まぁ、日頃のお礼を兼ねてね。はいこれ、セリアの分。リタの方は家で渡す」


『わぁ〜い! ありがとうコウヤ!』


「ありがとう、コウヤくん」


2人はとても喜んでいたのであった。

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