第14話 ディア・マイ・ブラザー
家永孝也から視点を移し、時は少しばかり遡る。
首に絡まった
追っ手の土魔術師に手加減はない。一段階、もう一段階と絞めの強度が上がっていく。
ルーカはえずき、階段の上に膝を折った。駄目押しのように首が絞まり、えずく。口から透明な汁がぽたぽたと漏れる。
「もういいだろう」
「後は任せた、先に行くぞ」
「死なせると面倒だ、適当にな」
決して同時には出現しなかった五人の魔術師が、次々と姿を現す。蔦使いの土魔術師以外はルーカには目もくれず、タカヤが駆け下りていった階段の先目指して歩みはじめる。
誰ひとり、ルーカが口の端で笑ったのに気がつかなかった。
酸素不足に震えながら、指を動かす。パチン、と、弱々しくだが確かに音が鳴る。
瞬間、五人の術師の足取りが止まった。
ぐらり、と体が揺らぐ。五者五様にその場に倒れ込む。倒れた場所が階段であったので、全員が全員踊り場めがけて転がり落ちていく。
奇妙な光景だった。ただひとり、己の魔術で練った空気を視認できるルーカにとって以外は。
首を絞めていた蔦がするりと落ちる。呼吸器を解放されたルーカは、咳き込みつつも大きく息を吸い込む。
「……空気中の酸素の、量は、大まかには二割を少々超える程度、だ……」
げほげほと、咳き込みながら、ルーカ。
「酸素濃度が一割五分を切った空気を吸えば……頭痛やめまい、吐き気の症状が、出る。更に下回れば実際に嘔吐もするし、顔の色も蒼ざめ傍目にも酸欠は明らか、だ。一割を切れば、失神。それも瞬時に……うん、やはりこれ……年明けの授業に使える、な……」
つまり、風魔術で一定範囲の酸素濃度を一割未満に下げられれば、複数人の人間を一瞬で昏倒させることが可能だ。もっとも、動かない停滞した空気の制御は風魔術の中でも熟練を要するので、誰にでもできる芸当ではないが。
「ああ、まったく、タカヤめ……これでバルバラを連れて帰ってこれなかったら、承知、しない……」
また一つ咳き込んで、ルーカ・アビアーティは目を閉じた。
意識を失う寸前、静かに横をすり抜けていった小さな気配には気づかぬままだった。
底に引きずり込まれながら薄れていく意識の中で、オレは走馬燈を見ていた。
歩き始めたばかりのオレを手を叩いて呼んでいる母親。それを新聞片手に茶を飲みながら見ている父親。
ベビーベッドの中で寝ている赤ん坊の美佐緒。ベッドの柵から指をつっこんで皺くちゃの顔をつつくと、火がついたみたいな泣き声。
夜中ぐずる美佐緒の頬を手で包んで落ち着ける。小学校に上がって若干周りから浮いてると感じ始める。本や漫画、自分で書く小説に逃げる方が楽だと考えだす。美佐緒にゴミを投げつけた馬鹿に切れたのが知れ渡り、ますます周囲から遠巻きにされる。
保護者面談で社交性に欠けると言われ、親二人に居間に呼び出されて説教される。だからといってそうそう行動も変えられずそのまま卒業。中学に入って各科目のレベルが上がる一方、美佐緒が伸びてきて何かと比較されだす。お互い気まずくなって顔を合わせづらくなる。
クラスの連中のほとんどが口をきいてくれなくなる。いっぽうたちの悪い何人かにパシリに使われだし、それでも思春期に入って居場所ってものが欲しくなってたオレはそいつらに縋って言うことを聞くようになる。
隣のクラスの可愛い娘が気になって手紙を書く。早朝下駄箱に忍ばせようとして見つかり、大声でクラス中に読み上げられる。その日一日、クスクス忍び笑いを聞きながら小さくなって過ごす。
――ハハッ、と、乾いた笑いが漏れた。
沈みはじめたときは頭蓋骨が割れそうだった頭痛さえ、この時点で感じなくなっていた。
――ロクなもんじゃねえな、オレの人生。
正直、三倍速でスッ飛ばしたい。
中学、高校と走馬燈は続く。男として一人前になれと腕を組んで言う父親。そのためには学業だと。模試の点数がこれ以上落ちるなら家を追い出すと。言いたいことは売るほどあったのに、唇を噛んでただうつむくオレ。
追い詰められるように受験勉強に打ち込み、それでも点数は上がらない。B判定、C判定、B判定、D判定。
センター試験の自己採点は壊滅、一縷の望みにすがりついて本番。オレの番号のない合格発表の掲示板。報告を受けて顔を覆う母親。『この馬鹿が』と吐き捨てる父親。
日が沈むのを待ち、窓を開け、ベランダの柵を越えて飛び降りる。
――いやほんとガチでひでぇわ。
ここで一区切りかと思っていたら、まだ続きがあった。
バルバラの体で跳ね起きるオレ。変化に戸惑うルーカや他の親族やクラスメイト。微笑んで手を差し伸ばしてくれたジーナちゃん。圧全開で迫ってくるアレクシオスは今見るとひどく必死に見える。ウィリディス、ファビアン、クラスメイトたち。スマホ越しに何年かぶりかで会話した美佐緒は、理想化された優等生の美少女とは程遠かった。
バルバラの日記を発見し読み終える。表紙を閉じるオレの指は震えていた。
――ああ、オレこのとき興奮してたのか。
――クソみてぇだった人生、ここで取返しがつくかもって思ってたのか。
――いっぱしのヒーロー気取りで。
他人事のように、思う。
――いい気になって突っ走って、結局羽虫みてぇに潰されて、ザマァねぇやな。
現実は厳しい。前の世界でもこの世界でも木っ端みたいな存在のオレは、バスタブの湯ごと排水溝に吸われてく石鹸カスみたいに水底に引きずりこまれていく。この忌々しい光景を眺めながら。
走馬燈はまだ続くらしい。
キャンバスのベンチで膝を組んだアレクシオスが、静かな火をたたえた目でオレを見る。ビデオ通話の美佐緒が呆れ顔でため息をつく。空き教室の扉を開けた先で、呼び出されたファビアンが机に腰掛けて待っている。
走馬燈の中のオレが『よぉ』と声をかけ、ファビアンの奴がくるりと振り返る。
そして。
≪タカヤよ。何を遊んでおる。
天才美少年の皮をかぶった二千歳超えのジジイは、記憶のどこにもない台詞を吐き、ピンクの唇の端でニヤッと笑った。
時は再び少々遡る。
「兄貴?」
家永美佐緒は愛用のスマホ片手に眉をひそめていた。
『やべぇ! 畜生、はめられた。見ろ美佐緒』
スピーカーから響く、少女の声帯を借りた兄の声。画面がぶれながら大きく傾き、石造りの床が映し出される。わずかに埃が積もった他は何の変哲もない床だ。端に見える水路も穏やかに流れている、ように見える。
ただ兄の叫びばかりが穏やかさから遠かった。
『水攻め……』
「え?」
画面に映る光景に変化はない。
なのに兄の声音は悲痛さを増していく。
映像が激しくぶれる。スマホを握った手を振り回している。
『汚ねぇぞ、女神アスタリアぁ!』
叫びとともに硬い音が響き、画面に高い石の天井だけが映り、静止した。
兄のスマホが床に落ちたと分かった。
直後、どさりと重い何かの落下音。画面の端に肌色の影が映り動かなくなる。
手だ。床に倒れた兄の。
「兄貴?」
美佐緒は身を乗り出し画面を覗き込む。体勢を変えても映像に変化はないと理性は承知、それでもディスプレイに顔を近づけ叫ばずにいられない。
「兄貴! 何があったの兄貴!」
返事はない。ただ水路を流れる水音ばかりがスピーカーから流れてくる。
状況が掴めないまま美佐緒は、動かない画面を前に取り残される。
「兄貴! 冗談じゃないよ返事しろこのスットコ兄貴! 根暗オタク、顔面差別主義者、異世界弁慶!」
やはり返事は、ない。
『美佐緒?』と呼んだ声はスマホではなく、背後にある自室の扉の向こうからだった。
母だ。時折兄との会話を漏れ聞き、息子の自殺未遂で娘が心を病んだと思っている。
「美佐緒、落ち着いて。ねえ、アップルパイがあるからリビングでお茶でも……」
「母さんは黙ってて! 兄貴、兄貴!」
息子は意識不明、娘まで精神に問題を抱えた(と思い込んでいる)母に、普段は美佐緒もそれなりに気を遣っている。だが今回は余裕がない。扉を隔てた先で母が無言で立ち尽くす気配があり、廊下を歩き去っていく音がする。
手の中のスマホをいっそう強く掴んだ。カバーの装飾が手に食い込んだが気にならなかった。
画面は変わらず、ただ時間だけが流れていく。
通話は切れない。一度切れば二度と繋がらない。兄が自ら受信に応えない限り。
「クソ兄貴、デクの棒、能無し」
届かない罵声は次第にボリュームを落としていく。
すべて、実際口にした記憶のある言葉ばかりだった。
『ほお、現国八十八点に数学九十三点か。まあまあじゃないか』
よみがえる記憶の中で父は、美佐緒の差し出した答案を見ながらまばらに髭の生えた顎を撫でる。
『もったいない。孝也じゃなくお前が男の子だったら良かったのに』
決まりきった台詞。
作文が入賞した。学級委員に選ばれた。文化祭の演劇で主役になった。生徒会長に当選した。
何を報告しても父はそう言った。
腹を立て食ってかかったのは数回、いずれもまともに取り合われず、眉を吊り上げる気力はじき尽きた。いつしか口端に笑みを貼りつけ、平たい声で返すようになった。
『そりゃそうだよ。私は兄貴とは違うもの。だって兄貴は』
――根暗オタクだから。
――デクの棒だもの。
――能無しじゃない。
兄を嫌ってはいなかった。特筆できるほど好いてもいなかったが。そもそも思春期に入ってから接触自体が減っていた。親近感とは共に過ごした時間がつくる。一つ屋根の下で暮らしながら年単位で情のこもった会話がないなら、純度の高い親しみを維持するのは難しい。美佐緒は兄への親しみの維持に失敗していた。ただただ無関心があるばかりだった。
なのに兄への謗りが息を吐くように出たのは、胸の底でくすぶりながら焦げついていく一つの感情のせいだった。
――
――私が男だったら。
――もしかしたら。いや、きっと。いやいや、絶対。
自分が欲しいものを受け取れる立場にいる兄。そのくせ、求められた成果を思うように出せない兄。なんて恵まれていて、そして愚かで無能な兄。
抱えた想いは、父が灰皿で潰した煙草の先のように熱をもって煙を上げた。ちかちか赤く灯っては冷えた灰になり、美佐緒の胸の空洞の底に積もっていった。
あの晩も、そうだった。
兄が志望校に落ちたと語った父が『情けない』と吐き捨てた。だいたい予想した通りの結果だったので、美佐緒はいつもと同じ笑みを浮かべいつもと同じく振る舞った。いやいつもより少しだけ、口にした謗りは多かったかもしれない。高みに登ろうとして転がり落ちた者を嗤うのは最上級の娯楽だ。あの晩確かに美佐緒はその娯楽を享受した。そして数時間後、兄の体が地面に落ちる鈍い音を聴いた。
母の悲鳴、八つ当たりめいた父の怒号、鳴り響く救急車のサイレン。
慌ただしい思考停止から復帰したのは、顔を覆って泣く母と手あたり次第に当たり散らす父を後目に、『手術中』の赤ランプを見上げた瞬間だった。
――違う、私は悪くない。私のせいじゃない。私は……
私は、私は、私は、私は。必死に言い訳を探し頭を回転させる。だって私は、でも私は、だから私は。数学の問題なら難なく解に至れる頭は、どんなに回っても説得力のある答えを見つけられない。
そして、唐突に息を呑んだのだ。
――ああ、なんて醜いんだろう、私。
影で兄を貶めてずっと嗤っていた。しかもその兄が思いつめて身を投げ、今扉一枚隔てた先で生死の境を彷徨っている状況で、まず出てくるのが責任転嫁。
汚い虫の死骸を突きつけられた気がした。虫の頭には自分の顔がついていた。
「兄貴。兄貴、兄貴、兄貴」
回想ではなく現実の世界で美佐緒は、意味がないのは承知でスマホの画面を指で叩く。
伸びた爪の先で叩くと
「兄貴……」
病院に運び込まれしばらく経っても、兄の意識は戻らなかった。
一生戻らない可能性もあると言われ、無人になった兄の部屋に足が向いた。六、七年かそこらぶりに足を踏み入れた部屋は男子特有の汗と垢、そして少し饐えたような匂いがして、遠い過去の記憶を呼び起こした。
たった今までそれを忘れていた
風が吹きすさぶ夜のベランダの、あまりの暗さ高さ寒さ寄る辺なさ。
全てを顧みて改めて、自分は虫ケラだ、と思った。罪をつぐなう機会も与えられない、小さく卑しい虫だと。
「兄貴、ねえ返事して。何か言ってよ」
かつて熱中したゲームの世界で、兄がバルバラ・アビアーティとして生きていると知ったとき、暗い視界に光明が差すのを感じた。理性は兄の事件のショックで発現した幻覚を疑った。だが自分を虫としか思えなくなっていた美佐緒は、それこそ光に引き寄せられる虫のように、都合のいい幻覚かもしれない兄からのLINEにすがった。
日々来る兄からのLINE。ゲームの世界観について、キャラクターについて、今後どう行動するかについて。トークに問いと答えが積み重なり伸びていった。兄に助言や指針を与えるたび、兄がそれに笑ったりへそを曲げたりしながら応えるたび、キチン質の外骨格が人の肉に近づいた気がした。淡い黄緑色の体液がヘモグロビンを含む赤い血に変じていくと信じられた。
何年も解像度の低い存在だった兄は、スマホ越しに会話を交わすたび美佐緒の仲で存在感を増していった。
かつて確かにあった無関心は消えていた。
今更奪われるなど耐えられなかった。
「いやだよ、兄貴! お願い起きて、兄貴……!」
『ほほぉ、成る程。分かりやすい絵面じゃ』
悲鳴と同時、スマホのスピーカーから声が響いた。
滑らかな白磁を思わせるボーイソプラノに、美佐緒は覚えがあった。
『何があったか大体は想像がつく。その裏も含めてな。だが状況確認は重要じゃ、一応ことのあらましを聞かせて貰うとするかな』
画面が揺れる。
ブレとともに映像が移り変わって、白い顔が覗く。
未成熟ながら人間離れした美貌が、赤い瞳で美佐緒を見つめた。
「ファビアンくん……」
ファビアン・フォンセカと呼べばいいのか、初代『護界卿』アステリクと呼ぶべきか。
分からない。確かなのは死に向かってるオレの目の前でこいつがニヤついてやがることだけだ。
≪まぁアスタリアを相手にすれば、十中八九というか万中九千九百九十九こうなるわなぁ。だから止めてやったというのに、若さも無知も実に恐ろしいものよ≫
「何しに来た。まさかオレを助けに」
≪いんにゃ≫
か、肩すくめて首横に振りやがった。
≪儂ゃ、お主に義理は一っつもないんでな。存在としては興味深いゆえ観察しておったが、別にここで野垂れ死なれたとて砂粒ほども心は痛まん。永い永い転生生活の退屈を多少紛らわせてはくれたが、それも
だったら何しに来たんだジジイ。人の走馬燈に割り込んでまで。
オレの視線が尖っていくのを察し、ジジイ、子供を宥めるようにひらひらと手を振った。
≪お主と同じじゃ。
小さな手が伸びてくる。
オレの額に、ぴん、と一発、でこぴんを見舞った。
「ったぁ!?」
≪アスタリアの関心は今お主に向いておる。あれに干渉するには、お主の精神を橋頭保にあれの領域……『概念域』に乗り込むのが手っ取り早い≫
「橋頭保ってつまり」
≪踏み台じゃ。こう、ふみふみ、ずかずかっと≫
擬態語使って足踏みしてみせてもちっとも可愛くねーよクソジジイ。
≪そういう訳で、お主にここで死んでもらっては困るのよ。搾りカスになってでも生き延びてもらわねば。それが儂の為≫
「いや困るのはてめぇの勝手だけどよ、オレ今まさに現在進行形で死んでるとこだし」
このタイミングでンな事言われても困る。しかも完全におっさん社員が大学出たての新卒にハッパかけるノリ。多分そう。絶対そう。経験ねぇけど絶対こんな感じ。
≪うん。それなんじゃけどな≫
ファビアンがぐいっと顔を近づける。
≪お主が今迎えつつある『死』……≫
おいやめろ。いくらガキでも中身は成人だろ。イケメンの面見ながら死ぬとかお断りだ。
顔をひきつらせながらオレが身を引くと、小さな口からぽん、と言葉が吐かれた。
≪気のせい≫
「は?」
≪だから、気のせい。『あっオレ死ぬわー』と強烈に思い込まされておるのよ。まあ強烈すぎて実際死ねる思い込みではあるがな≫
「はっ……?」
≪少し前にも話したじゃろうて。概念域に引きずり込まれた儂がアスタリアに精神干渉で窒息死させられた話。今回も同じやり口よ≫
第二次世界大戦前のオランダで、死刑囚を使って一つの実験が行われた。
どれだけ血液を抜いたら人間は死ぬのか。
『三分の一血を抜いたら人は死ぬはず』、そう事前に聞かされていた死刑囚は、実験の最中『じき三分の一に達します』と聞き、間もなく息絶えた。実際には一滴も血なんか採っちゃいない、ただの心理実験だったにもかかわらず。
人は自分のイメージで死ねるという話。小学生の頃図書館の本で読み、ヨタ話にも程があるだろと鼻で笑ったエピソードだが。
≪アスタリアはあくまでも、この世界の概念域を支配する女神。現実域に直接干渉は出来ぬ。二千と二百と十八年前、儂があれの責の半ばを肩代わりしたとき、そのように『切り分け』たゆえな≫
現実域が、『護界卿』。
概念域が、女神アスタリア。
ああ、そういう理由で分けられていたのか。
≪目を閉じよタカヤ。ここはさっきお主が沈んだ水の底じゃ。水面に向かって一直線に上に泳ぎ、顔を出して肺いっぱいに呼吸する己を思い描け。アスタリアの干渉は強烈じゃ、絡繰りを知っておる儂さえ一度は抗えず死を迎えたほどにな。だが≫
意地の悪さ五割増しでジジイは笑った。
≪女神と直に交渉しようというなら、この位の芸当はやってのけねば、なあ?≫
目を閉じて開けると、空き教室の光景はいつの間にか融けていた。机や椅子や壁や黒板の代わりに海とも沼ともつかない黒く冷たい水がたゆたい、笑うジジイは銀のあぶくを口から吐いて見えた。
オレは息を吐いた。ボコリと、その息さえきらきら光る泡になった。
顔を上げる。
泡が吸い込まれていく水面。その上にいる女神を想い、オレの精神は浮上した。
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