第6話 マストアイテム

「さ、ショパン!!

 思いっきり言っちゃいなさい……👄✨💕」

 なまめかしく甘えた声でリオが言うとナゼか卑猥ひわいだ。

 一斉に、全員の目がショパンにそそがれた。


 極度にシャイな彼は顔を真っ赤にし、うつ向いてしまった。



「フフ……、大丈夫よ!! ショパン.♡

 お姉様が着いているから❗❗」

 リオが彼の頭を優しくポンポンと叩いた。



「……」ショパンは指を縦にダブルピースにし、ゆっくりと両腕の肘だけ曲げていった。

 直角に曲げた所で制止した。



「ン……??」いったい何をする気なんだ……。

 それじゃ、まるで……。



 僕らが不審に思っているとショパンは不気味な声で笑い始めた。



「フォッフォッフォッ……」

 前に突き出したダブルピースを揺らしながら不気味に笑った。



「な、何をしているのよ……。この子??」

 思わず蟹江カニえ 舞も鬼頭 麗香も眉をひそめ訊いた。


 春田はるた 聖司だけが顔を引きつらせた。


 一瞬、僕らもショパンの奇行に頭が変になったのかと思った。


 だが、相変わらずショパンは両手をハサミにして、

『フォッフォッフォッ……』と笑い続けていた。



「おいおい…… それじゃ、まるでバ○タン星人だろ」

 つい僕は突っ込んだ。

 宇宙忍者と呼ばれるバ○タン星人の真似をしているのか。


「あ、そうか……!!」リオがハッとして叫んだ。

「え……??」


「バ○タン星人のフィギアが…ない……」

 ショパンはボソボソと呟いた。


「えェ……❓❓」

 耳をそばだてなければ聴き逃してしまうほど小さな声だ。



「バ…、バ○タン星人…… な、なるほど、そうか」

 僕らも床に散らばった無数の怪獣のフィギアを見た。



 良く良く見ても、この中にバ○タン星人のフィギアが見当たらない。



 バ○タン星人はウ○トラ怪獣の中で屈指の人気キャラクターだ。

 世代は違うが僕でも知っているほど有名な宇宙怪獣だ。



 フィギアオタクの鬼頭きとうからすれば絶対必要マストアイテムだろう。



 前に撮った画像にもコレクションケースの真ん中にバ○タン星人のフィギアが飾ってあった。


 それが見つからないと言う事は【何者】かが持ち去ったのだ。


 その【何者】かが、鬼頭きとうを殺害した【真犯人】に間違いない。




 そして、その【真犯人】は……。

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