36歳処女の会社員で勇者様は和平会談に参加する
まずは、セリーナ様がリディアさんの転移魔法で王城に行って父親である国王様に事情をあらかた説明し、すぐに戻ってきたセリーナ様達がすぐに会談を開きたいと言ってきたので、私達は魔王様とミカさんを連れて会談の場である会議室へと通された。
会議室には重大な案件というのもあって、事情を知る私とカトレアさんとセリーナ様とリディアさん。魔族側として魔王様とミカさん。人間族代表として国王様の計6人しかいなかった。
早速魔王様から先程私達が聞かされた話を国王様にも再び話し、それを全て聞き終えた国王様はとても困ったような表情をしていた。
「う〜む……まさか……魔族と人間族の永きに渡る戦争にそんな事情があったとは……」
国王様もひどく驚いている様子だ。無理もないだろう。この戦争のきっかけが実は恋愛のいざこざが原因なのだから……
「……全ては我が先祖の魔王の私怨が原因。咎は全て私1人が受けます。故にどうか魔族の者達は救っていただけないでしょうか?」
「いやいや!?あなたには何も責任はないでしょう!それに、それを言ったら我が先祖もそちらの先祖様を説得出来なかったのが原因なのですから!」
「いや!しかし!やはり我が先祖の私怨が!」
「いえ!我が先祖がきっちり話をつけなかったのが!」
「私が悪いのです!!」
「いや!私が悪い!!」
「ちょっ!?ストップ!?ストップ!!?2人とも落ち着いてください!!和平交渉してるのにいきなり不毛な喧嘩を始めてどうするんですか!!?」
どっちが悪いかとかで口論を始めた2人を慌てて私が止めると、2人は私に指摘されてコホンと咳払いをして静かに着席した。
「とりあえず1番の問題はこの戦争を何とか平和な方向で終わらせる事です。国王様。どうにか魔族側にも平穏無事になるように出来ないでしょうか?」
私がそう尋ねたら、国王様はひどく難しい顔をした。
「難しいでしょう……そちらが配慮していただいた事もあって、戦争による死者はあまり出てないとはいえ、被害が少ないという訳ではありません。まして、先程の事情を伝えたら、大多数の者は魔族側に何らかの制裁を望む声が多いでしょうな……」
確かに……国王様は自分の先祖にも非はあると言ってくれたけど、大半の人が国王様みたいに考えられる訳じゃない。大多数の人が魔族側の制裁を望むであろう。
会議室に重い沈黙が流れる。これはどうしたらいいのものか……こういう時、本当に伝説の勇者がいるなら方法はあるのに…………ん?あれ?そういえば……勇者って……私じゃね……?
「あ……あのぉ〜……案があるんだけど言ってもいいですか?」
私が挙手をしてそう言ったら、全部の視線が私に集まって驚いて尻込みしそうになったけれど、言わないと始まらないと思い、私は自分の意見をみんなに伝えた……
36歳処女の勇者様 風間 シンヤ @kazamasinya
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