第6話
月曜日の朝がやってきた。
「もう朝か...
ってか雨?めっちゃさむい起きたくない...」
絢は二度寝をしたかったが、
月曜の朝から遅刻するわけにもいかずベッドから起き上がった。
朝の身支度を整え、洗面所に向かった。
目の前には一樹と同じ香りの香水。
絢は企んだ。
今日、一樹と同じ香水をしていけば、
あの嗅覚のいい一樹ならちょっと気付くかも...
私の方に振り向いてくれるかも…
一樹は人並み以上の嗅覚でよくいろんな香りを当てる。
今日一樹に渡す書類あるし、
手首につけて行こう。
あやは左手首に香水を1プッシュした。
うん、これで大丈夫。
一樹気付くかな...
絢的には、こういう展開を待っている
「一樹部長。こちらの書類にサインと印鑑を頂けますか?」
絢が一樹の側に行く。
「あれ?いつもと香りが違くないか...?
新しい香水か?」
「...え?
ちょっと待って...俺と同じ香水か?」
一樹がちらっとこちらを見つめる。
絢は何もなかったかのように書類渡す。
…。
書類とともに香水の香りがほんのり漂う
「おいおい...w 絢かなり挑発的だな笑」
一樹はあたかも自然を装い、
じっくり書類に目を通す。
...。
「おっけー。これで行こう。」
今サインするからそこで待って。
「はい。」
絢が返事をするとサラサラっとサインをした。
「はい、よろしくお願いします。」
一樹が絢に書類を手渡す。
「ありがとうございます。」
絢は、軽くお辞儀をして一樹の元を離れる。
…。絢が立ち去る。
動作と同時にまた香りが漂う…。
一樹部長の近くに残り香が。
一樹は今のほんの一瞬の間に
何が起こったのかきちんと理解ができず、
とりあえず一服するために席を立つ。
数秒後、
絢は一樹が出で行った扉から書類を持って席を立つ。
一樹が吸っている喫煙所はガラス窓で透けて見える。
外の様子も中の様子も見える。
お互いの動きが見える。
そこを絢はわざと通る。
一樹が絢を目で追う…
…。なんなんだ。
考えただけで最高のエピソードじゃないか。
実際にこの戦法を使うときがやってきた。
いざ仕事をするとそう事が上手く行くはずはない。
運悪く一樹は打ち合わせで席を外しがち。
絢は書類にサインが欲しいからデスクに置く。
一樹が持ってきてくれる。
まあ、こんな感じであった。
そしておまけに一樹は年始早々辛い事があったらしい。
絢も初日から残業で辛い。
とどめに仕事はトラブル。
はぁ。
早く一樹パワーが欲しい...
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます