第10話病院

相棒は、腹が膨れている


相棒は「病気」なのだと誰かが言ったーー実際にそうなのだ


「相棒は、2歳のころからこの病気にかかってる」


それが原因で、おなかが膨れている


「お前、金づるを隠しているな」

「答えるつもりはないね」


相棒は、二歳の時死んだ妹から「臓器」を移植してもらった


「卵巣」を、骨盤があるほうにではなく、小腸あたりに


まぁだから、こうして(男でも女でもない、ってやれるんだよなだってーー)

意味ねーもんよ、膣口はない、骨盤にない

それでどうやって妊娠しろというんだ


そんな相棒だが、体の中に成熟性嚢胞性奇形種せいじゅくせいのうほうせいきけいしゅというなんかよくわからない、かっこいい名前のものを抱えている


もう、袋の中に、骨、内臓、脊髄、皮膚、腕、足がばらばらの状況で入っている


ーーああ、そうだ


それが悲鳴を上げる、逃げろと、危険だと死にたくないと


誰よりもお母さんのことを案じて、だが、ーー老人二人がこちらに向かって


「逃げよう、あれの相手はまた今度だ」


二人は駆け出すーーだが、どうしても子供を抱えたままでは足が遅くなる


まぁ、2歳の時からずっと袋の中に入れてたから、慣れてはいるが


ーーいやだ、いやだ、やめてお母さん逃げて


12歳の奇形種はちょうど赤子の大きさにまで育ってる


「どうすんだ、あれ」

全身をぬるりとしたものが覆う、、、蛇だその瞬間、我に返った

この蛇は、自分の深層心理だ逃げずに立ち向かえとそういっている


「いけぇ」

「(お母さん、やめてその女怖い、なにか、きょうきをかんじるよ)」


「お願いーーファイア」


頼み、自分はジャンプする

炎のこぶしがひっとする


白蛇流、封印術式、手で空中に文字を描く


ーー大蛇オロチ

そのとき、ちのついたしかしし、二人に逃げられる


そのとき、ちのついた手毬を見て塩町に電話をかける

「塩町そっち行ったかもしれない、たぶんーー次の犠牲者は」

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