ダンジョン拡張2
まずは『並立の奇眼』で『無璧の魔眼』と『切削の魔眼』を起動する。これにより、『無璧の魔眼』で見たものの防御力がゼロになり、あらゆる抵抗が無くなる。
まあ、使ってみて直感的にわかったんだけど、僕以上の魔力を持つ生物や魔法的な作用が働いている物質、所謂魔道具や魔法武器何かには
『切削の魔眼』の方も同じで、こっちの方は効果が現れる範囲や速度が減少するみたいだ。
しかも、どちらも僕の魔力量の50倍を超えていると問答無用で無効化されるみたいだ。
「まあ、これに関しては大丈夫だとは思うけどね」
なんせ、今回の対象はダンジョンの壁だしね。
話は逸れるが、ダンジョンの壁、というか、ダンジョン全体は基本的に破壊不可能な物質で出来ている。それはもう、こうこうこうやって、こうやってこうすれば、破壊できる、という領域を超えていて、それこそ神とかそこら辺のレベルでないと傷をつけることすら不可能な程だ。因みに、人類はダンジョンが破壊できないことを知らない。何故なら、知らない方が技術が発達する余地が生まれるから、らしい。
しかし、何事にも例外というものはあるように、このダンジョンの破壊不可能な特性にも例外で破壊できる存在が存在する。
その唯一の例外が、ダンジョンマスターだ。
ダンジョンマスターは自身のダンジョンを拡張させる為にどうしてもダンジョンを破壊する必要が生じる。代表的なのは、落とし穴や魔法陣を利用した罠類だ。落とし穴は穴を作るため、魔法陣を利用したものは魔法陣を刻むためにダンジョンを削ったりする必要がある。
その為にダンジョンマスターとなった際に取得するスキル、EXスキル『
但し、それでも一切の抵抗なく破壊できるということはなく、固まった土よりも少し硬い程度の高度はあるみたいだ。
「まあ、そのために『無璧の魔眼』で防御力をゼロにして落ち葉よりも柔らかくするんだけどね」
そうして『切削の魔眼』で削っていけば負担は結構減るはずだ。
「じゃあ、やって行きますかね」
そうして『並立の奇眼』で二つの魔眼を並立起動させてみると、体内の魔力が少しずつ消費されていくのが感じられた。どうやら『並立の奇眼』を使用すると、並立起動した眼の数だけ魔力を消費するようだ。今のところ二つ起動すると5秒ごとに2MPを消費するようだ。
起動する目の数が増えれば5秒ごとに目の数のMPが消費されるようになるのかな?
とりあえず、無駄に考察を重ねてMPを無駄にはできないし、どんどん削っていこう。
まずは、そうだね、高さ2メートル、横幅1メートルの長方形型に魔力が続く限り掘って行ってみようかな?
□
という訳で、掘って行って大体5分位が経った頃、MPがゼロになった。
掘れた範囲は大体5メートル、詰まり1分に1メートル掘ることが出来たという計算になる。でも、削って行った時に出るダンジョンの壁の欠片が邪魔で、それ毎削ってったのも1回や2回じゃないから、それを片付けてればもう少し掘れていたんだろう。それでも僕の予想ではもう少し掘ることが出来ると思ったのだが、どうも『無璧の魔眼』と『切削の魔眼』を使うとその分魔力を使うみたいで、魔力が溶けるように消費されて行った。
しかも、僕自身は魔力が完全になくなった際に出る症状、魔力欠乏症を引き起こし、物凄く怠くて体が動かなくなるという症状まで出た。
『マスター、大丈夫ですか?』
「いや、無理……」
『そうですか。では、さっさと魔力を回復させてください』
「辛辣……。分かったよ……じゃあ、回復に勤めるよ……」
とは言ったものの、これは本当にキツイ。体に力は入らないし、喋るのだって凄くだるい。
そしてどうすれば魔力の回復が早くなるか何て、僕は知らないし。
そう考えていたら、また眼が暖かくなり、数秒もすると焼けた鉄よりも熱く、しかしどこか心地よい感覚がした。
そして10秒くらい経った後、急に熱が引いていき、つい数十分前に聞いた声が聞こえてきた。
《ピロン!『可能性の眼』より、個体名ソウの眼が半独立化しました!》
そう聞こえた直後、今度は眼に全く心地よくない激痛が襲って来た。
「ぐぁ、がぁぁぁぁぁぁぁあああ!」
『!マ、マスター!?どうしました!?』
ヒカリが何か叫んでいたが、そんなのは気にならない。いや、気にする余裕すらない。
何故なら、その痛みはEXスキル『
「ぁぁぁぁぁぁぁ…………はぁっ、はぁっ、ぐぁ…………はぁっ、はぁっ…………」
その痛みは1分にも1時間にも感じられるほど続いたが、実際は10秒も経っていなかった。
唯でさえ魔力欠乏症で体が動かしにくい時にこの傷みで暴れたから、筋肉痛が酷い。
ただ、痛みが引いた後に眼に意識を向けてみると、眼から魔力が生み出されていた。
『マスター!どうしました!?』
「はぁっ、……なんか、『天の声』が聞こえたんだけど、その後に眼が凄く痛くなって、それで今は痛みは引いたんだけど、なんか眼から魔力が生み出されてる……。」
ヒカリの呼び掛けに、若干支離滅裂になりながらも応えたら、ヒカリの安堵したような、けれども心配しているような感情が伺える声が聞こえてきた。
『眼から、魔力が生み出されている……?いえ、それはまず置いておきましょう。マスター、体調にそれ以外で変化はありますか?』
そう聞かれ、試しに魔力を身体中に巡らせ、異常がある部分を探してみたが、これといった異常は見当たらなかった。
「いや、無いみたいだね。でも、『天の声』は『可能性の眼』で僕の眼が半独立化した、って言ってたから、多分眼以外には異常はないと思う」
そもそも、眼が半独立化したってどういう事?
いや、''半''独立化、だよね?ということは、眼が独立、詰まり僕の体の一部じゃなくなった、の半分だから、僕の体の一部ではあるけど、僕の体ではない、っていうことになるのかな?
『マスター、少々失礼します』
「ん?え?」
突然のヒカリの言葉に少し混乱するも、続けて『出来るだけ抵抗しないでください』って言われたから、『
そして数秒後。
『……解析完了しました、マスター。マスターの身に起きたことは、眼の半独立化、詰まり、マスターの眼が魔力を生み出す機関になったという認識で大丈夫なようです。これが完全な独立だったら、眼に魂が定着して一つの生命体になったでしょうが、今回は半独立化なので魂は宿っていますが定着はせず、魔力を生み出し続ける機関になったようです』
「ああ、うん。ありがとう、ヒカリ。でもさ、どうしてそんなこと分かったの?」
『それは、その、私がマスターの眷属だからです。魂が定着した際、同時に眷属化も実行され、私の種族は
「……え?……マジ?」
『マジです』
はぇー。いつの間に……。
□
いつの間にかヒカリが眷属になってたのは驚いたけど、だからといって魔力欠乏症が治った訳ではない。
いや、確かに半独立化した眼の魔力で回復速度は3倍になってはいるけど、そうそう魔力は回復するものじゃない。
何か魔力を回復するスキルがあれば別なの……だ…………が……
「あぁ!忘れてた!『完全掃除』!あれって確か……『ステータス』!」
******************************
name:ソウ
age:15
race:魔眼族 《王》Lv.1
job:ダンジョンマスターLv.1
state:通常
Magic aptitude:炎、風、闇
HP 220/220
MP 9/390
str 13
agi 15
dex 39
def ----(物魔耐性測定不可)
magi 36
EX skill
unique skill
完全掃除
可能性の眼
└半独立化
【魔眼】
└無璧の魔眼
└切削の魔眼
【奇眼】
└並立の奇眼
normal skill
体術Lv.3
農耕Lv.9
title
虐げられし者
痛みを知る者
生還者
可能性の塊『限定:眼』
ダンジョンマスター
選ばれし者
効かぬ者
新種族
*****************************
******************************
『完全掃除』
自身が『実家』又は『拠点』と認識した空間にあるゴミ、害虫等有害と認識できる生き物を一箇所に集め分子レベルで分解する。
分解した成分は魔力へと強制変換され、自身、又は他の生物、非生物問わずへと吸収させる。なお、生物や魔力を含むゴミはそのままの魔力量で吸収される。
変換効率は以下の通り
ゴミ1kg(魔力等なし)=10MP
害虫等1kg(魔力等なし)=30MP
*******************************
そうだよ、このゴミさえあれば魔力が回復できるユニークスキル。これがあったのを忘れてた。
いや、ね、ついつい魔眼とかにばかり目がいってて、もう一つの
とりあえず、このユニークスキルがあれば、魔力を即座に回復できるはずだ。
使うゴミは、ダンジョンを削る時に出来た大量のダンジョンの壁の欠片。これ、いくらあってもいらないし、しかもこれからもどんどん出てくるだろうから置き場に困る『ゴミ』だから、多分『完全掃除』は発動してくれると思うんだよね。
「という訳で初仕事だよ。ダンジョンの壁の欠片を掃除しろ、『完全掃除』!」
すると、大きさがバラバラ─────塵サイズから大きめの石サイズまで─────だった欠片が重力を無視して一点に集まっていき、どんどん球体状に圧縮されていった。そしてそれは大きくなりながら徐々に光を放ち始め、全ての欠片が集まった頃には太陽には負けても劣らないほどの光を放っていた。当然、それは眩しいから目を逸らしたくなるかと思いきや、何故か僕は大丈夫だった。少し考えたあと、『
それを考えている間にもゴミの変化は続き、直径20センチ程だった球体状のゴミは1センチにも満たないほどの大きさに圧縮されていた。圧縮したので光も強くなるかと思いきや、今度は逆に真っ黒になっていて、その変化具合はこれから太陽に負けず劣らずの光が出ていたと言ってもだれも信用しないほどだ。そして、黒い球体は突如として破裂し、無数の黒い粉になった後、突然半透明化して僕の方に集まり始めた。
それがあまりの密度に可視化された魔力だと分かったのは、それが僕の体に入ってきて、一瞬で僕の魔力が全回復したのを実感したからだ。
但し、僕の魔力を全回復しても、それはその魔力全体から見れば微々たるものでしかない。
僕の魔力を全回復しても尚その魔力は僕の体に入っていき、すぐに限界を迎えた。
「ッ!!ぁ…………」
それは、体が破裂するかのような激痛だ。いや、実際破裂しかけているのだろう。許容量を大幅に超えた魔力は僕の制御を離れ、それでも尚高まっていく魔力圧に耐えきれず爆発寸前まで行った。
激痛で僕の意識が遠のく。
しかし、これまでの人生で培い、異常なまでに膨れ上がった全ての生物が持つ本能、生存本能が、僕の意識を繋ぎ止め、同時に『可能性の眼』を無意識下で発動させた。
□
《ピロン!『可能性の眼』より、『吸魔の邪眼』、及び『蓄積の奇眼』が派生しました!》
《ピロン!『魔力耐性』、及び『邪耐性』を獲得しました!『魔力耐性』、及び『邪耐性』はEXスキル『
突如として、破裂しそうだった体の中にある魔力が収まり、激痛も収まった。
遠のきそうな意識の中で聞いたからか、或いは死の間際で記憶力が強化されていたのか、聞こえた『天の声』はしっかりと記憶に残った。
「……っはぁ、はぁ、……1日に……2回も死にかける…………って、全然……笑えないね……」
『……ター!マスター!返事をしてください、マスター!』
「……うん、大丈夫だよ……。心配かけたね、ごめんね、ヒカリ」
『いいえ、大丈夫ではないです!何をしたのですか!?マスターの体内魔力が異常に高まったんですよ?!一歩間違ったら破裂していました!』
どうやら、ヒカリには僕の強がりは見え見えのようだ。
しかし、強がりを言ってみたはいいけれど、喋るのも結構億劫になってきたから、『迷宮核同調』を使って会話することにした。
□
僕のやったことを話したら、ヒカリは本気で僕を心配してくれた。
どうやら、僕には死んで欲しくないらしく、二度とこんなことをやらないでほしいとまで言われた。
でも、やらないとダンジョンを拡張できないし、何よりさっき手に入れたスキルの説明をして説得して、渋々とだがこれからも続行して行くことを許された。
『ステータス』
******************************
name:ソウ
age:15
race:魔眼族 《王》Lv.1
job:ダンジョンマスターLv.1
state:魔力回路損傷(微)
Magic aptitude:炎、風、闇
HP 220/220
MP 468/468
str 13
agi 15
dex 39
def ----(物魔耐性測定不可)
magi 36
EX skill
unique skill
完全掃除
可能性の眼
└半独立化
【魔眼】
└無璧の魔眼
└切削の魔眼
【邪眼】
└吸魔の邪眼
【奇眼】
└並立の奇眼
└蓄積の奇眼
normal skill
体術Lv.3
農耕Lv.9
title
虐げられし者
痛みを知る者
生還者
可能性の塊『限定:眼』
ダンジョンマスター
選ばれし者
効かぬ者
新種族
*****************************
*****************************
『邪眼』
持ち主にもその力の影響を与えることが出来る邪悪な魔眼。故に邪眼。
邪眼は魔眼以上の力を持つが、その力は持ち主をも蝕む。
*****************************
*****************************
『吸魔の邪眼』
魔力を問答無用で吸収する眼。どんなに実力差が離れていようが、必ず魔力を吸収する。
その力は持ち主をも蝕み、自身の魔力を放出してしまう特性を併せ持つ。
*****************************
*****************************
『蓄積の奇眼』
自身が吸収した力を純粋なエネルギーに変換し、蓄積する奇眼。基本的には常時発動。
変換した純粋なエネルギーは純粋故にあらゆる力へと変換可能であり、また、
現在ストック:11,537エネルギー
*****************************
しかも、魔力欠乏症の状態で魔力を強制的に回復させられたからなのか、魔力が大幅に増えた。但し、状態の欄が魔力回路損傷(微)となっているのはご愛嬌。
更に、『蓄積の奇眼』に溜め込まれているエネルギーも徐々に増えていっている。その速度、1秒につきおよそ9。これは多分、魔力を両眼でも生み出すことが出来るための速度だと考えられる。
そうこう考えているうちに状態の欄も通常に戻り、万全の状態であることが分かった。多分EXスキル『
「じゃあ早速ダンジョンの拡張に取り掛かろっか。……ヒカリ、大丈夫だからそんなにピカピカしなくても大丈夫だよ」
『ですがマスター、そう何度も臨死体験をしてしまいますと、マスターの
「大丈夫、ヒカリは心配しすぎだよ」
『ですが────』
「大丈夫だって。それよりもさ、ダンジョンが現界するまでにある程度ダンジョンを作っとかないと危ないでしょ?だから、今は多少無理したって拡張しないとさ。それに……」
『それに?』
「……いや、何でもないよ。それよりも、早速ダンジョンを拡張していこう」
そうして『並立の奇眼』で『無璧の魔眼』と『切削の魔眼』を起動して、ある程度削ったダンジョンの壁を対象にして、また削り始めた。更に、今度は『完全掃除』を常に使って欠片を魔力に変換、『並立の奇眼』で『吸魔の邪眼』を使って余剰魔力を吸収、『蓄積の奇眼』で吸収した余剰魔力を蓄積していく。
これで作業効率は大幅に上がり、僅か3分で前回と同じ距離を拡張することが出来た。この調子で行けば、現界する迄にはある程度ダンジョンとして形にはなるだろう。
それに……
それに、僕の
《ピロン!称号『壊レタ
《ピロン!称号『偽リノ
《ピロン!称号『虚無ナル
《ピロン!『可能性の眼』より、『隠蔽の魔眼』、及び『崩壊の邪眼』、『偽リノ道化眼』、『深淵ヲ覗キシ虚無ナル瞳』を取得しました!尚、『隠蔽の魔眼』は『偽リノ道化眼』に吸収されました!》
******************************
name:ソウ
age:15
race:魔眼族 《王》Lv.1
job:ダンジョンマスターLv.1
state:異常精神(偽リ中:通常)
Magic aptitude:炎、風、闇
HP 220/220
MP 517/517
str 13
agi 15
dex 39
def ----(物魔耐性測定不可)
magi 36
EX skill
unique skill
完全掃除
可能性の眼
└半独立化
【魔眼】
└無璧の魔眼
└切削の魔眼
【邪眼】
└吸魔の邪眼
└崩壊の邪眼 (偽リ中:
【奇眼】
└並立の奇眼
└蓄積の奇眼
【道化眼】 (偽リ中:
└偽リノ道化眼 (偽リ中:
【◼◼◼】 (偽リ中:
└深淵ヲ覗キシ虚無ナル瞳 (偽リ中:
normal skill
体術Lv.3
農耕Lv.9
title
虐げられし者
痛みを知る者
生還者
可能性の塊『限定:眼』
ダンジョンマスター
選ばれし者
効かぬ者
新種族
壊レタ
偽リノ
虚無ナル
*****************************
*****************************
『崩壊の邪眼』
目に映るモノ全てを崩壊させる。自身にも反動が及ぶ禁忌の瞳。
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*****************************
『偽リノ道化眼』
目に映るモノ全てを持ち主の意思以外では見ることすらできなくする。それは持ち主の
それはまるで道化師のごとく……。
*****************************
*****************************
『深淵ヲ覗キシ虚無ナル瞳』
この瞳Tyまやdjgxj◼🔽ap「~dUdhktdv☆┫?てaw……
*****************************
現界まで残り318時間59分44秒
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