第8話 異性と一緒の筈なのに

 俺とクレアは、一階の食堂で飯を食い始める。

 「いただきます。」

 俺は、合掌してから食べる。

 異世界の飯も普通に旨いな。見た目もいいし。

 「いただきます?なんだそれ?」

 なんだ?こっちにはいただきますを言う文化がないのか?

 「あれだ。俺達はコイツらを殺して、生きているだろ。だから、せめて、感謝して食おうって事だ。」

 少なくとも、俺はそう思う。

 コイツらも命があるのに、それを食っているのだから。

 「ふーん。でも、そんなこと言ったら、ゴブリンとかには感謝しないの?」

 めんどくせえなこいつ。あれか、プレゼンの時に、たいして興味ないのに、意味もなく意見言ってくるタイプか。

 「だから、ここで、全部に感謝するんだろ。あいつらも俺達を殺すが、身を守るためだからな。」

 これで満足か。これ以上意見はないぞ。

 「なるほどね。いただきます。」

 クレアも合掌する。

 日本の奴等より素直で良かった。あいつら、自分は生徒会にすらなろうとしないくせに、こっちには文句ばっか言ってくるから、本当に嫌なんだよ。まあ、偏見だけど。

 「普通に旨いな。ニホンと同じくらい旨い。」

 「そう。なら良かったわ。そうそう。こっちにも、ニホンからきたシェフとかいるのよ。そういう、ハンターじゃないニホンジンは、基本的に性格がいいから、好かれているわ。嫌われているのは、ハンターだけね。」

 「なるほど。」

 ハンターになる奴等は、気性が荒い奴等が多いんだろうな。俺みたいな子供は少ないだろうし。

 「ちなみに、私あんたと会った時に、スポーツマンシップって言ってたわよね。」

 「ん?そういやそうだな。なんでそんな言葉知ってるんだ?」

 異世界とかは、スポーツが少ないと思うが。

 「ニホンジンがスポーツを伝えて、貴族とかじゃなくても、スポーツが手軽に出来るようにしたのよ。だから、ニホンジンの職人たちには、みんな感謝しているわ。」

 おお。じゃあ、俺がやっているスポーツも出来るかもしれないな。

 俺は、日本では、ソフトテニスをしていた。それも、まあまあガチで。ブロック大会とかでは、正直最下位争いをしていたが、学校では、一番本気でやっていた。

 「それじゃ、明日の朝、特訓が終わったら、スポーツ店とか見に行きたいんだが。いろいろ教えてくれよ。」

 「構わないわよ。私もやってみたいと思ってたし。まあ、そんな余裕なかったんだけどね。」

 そういやこいつ。お父さん探さないと行けないんだよな。まあ、勇者候補だし、その四天王とやらも、あまり外に出さないだろう。

 「んじゃ、頼む。」

 そうこうして、俺達は飯を食べ終わる。

 「ごちそうさま。」

 「ごちそうさま。」

 クレアが俺の真似をして、ごちそうさまと言う。

 このまま、この世界にひろまったら面白いな。

 「さっさと、部屋戻って寝るか。」

 「そうね。明日も早いし。」

 俺達は部屋に戻る。

 さて。

 俺は辺りを見回す。

 ベットが一つ。机が一つ。普通の部屋だ。

 「おい。」

 「なに?」

 「ベット、どっちが使う?」

 一緒に寝るのはできたら避けたい。狭くなる。それに、

 「俺の部屋だし、分かってるよな?」

 「そうね。あんたが借りた部屋、あんたが使うべきよ。」

 おっ、よくわかってんじゃないか。

 「でも。」

 でもってなんだ。なんか反論があるのかよ。

 「女の子に貸してくれたら、かっこいいな。」

 かっこいいだあ?

 クレアがわざとらしく、上目遣いをしてくる。

 「今さら女ぶんな。」

 男みたいな性格してなにを言うんだこいつは。

 「今さらってなによ!いつも女の子してるわよ!」

 クレアが怒りながら言う。

 その言葉に俺は、爆笑して返した。

 「笑うな!まったく。じゃあ、じゃんけんで決めましょう。これなら平等よね。」

 俺の部屋なのに、平等もクソもあるか。

 まあ、

 「いいだろう。吠え面かいてもしらんぞ。」

 「こっちのセリフ。」

 俺達は、大きく息を吸う。

 「「じゃんけんポン!」」

 くっ、あいこか。

 「「あいこでしょ!」」

 くっ、あいこか。

 「「あいこでしょ!」」

 くっ、あいこか。

 ショッ!ショッ!ショッ!

 俺達はあいこを繰り返す。

 なんで、こんなに、あいこが続くんだ!ありえんだろ!

 「いや、おかしいでしょ。二人でやってこんなに続く?普通。」

 だあ、めんどくせえ。

 「仕方ない。一緒に寝るぞ。」

 じゃんけんするのも嫌になってきた。

 「そうね。眠いから、このさい、どうでもいいわ。一緒に寝ましょうか。」

 俺達は狭いベットに二人で入る。

 「ねえ、狭いからもっとあっちいってよ。」

 「十分だろ。文句があるなら出てけ。」

 「断る。」

 クレアが自分の体で押し込む。

 「おい、くっついてくるな暑い。」

 「私はちょうどいいわ。文句があるなら出ていけば?」

 「こんにゃろ。」

 「おお、やる気?」

 俺達は、ベットの中で、押しくらまんじゅうを始める。

 「・・・疲れたけど、楽しいわね。」

 「・・・まあ、パートナーと一緒なら、多少はな?」

 「ふふ・・・おやすみなさい。」

 「おう。おやすみ。」

俺達は子供のように、はしゃぎ、やがて、寝た。

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