『ため息禁止法』

やましん(テンパー)

『ため息禁止法』

『このおはなしは、フィクションです。』




       😞💨


  むかしむかし、遠い国のお話です。


 とある、とても栄えた、連邦国のことです。



 『国民のため息を防止することにより、国民の健康をさらに増進させることをより推進させるための法律』


 略称『ため息禁止法』、またの名を『ためきん』・・・が施行されて、3年が経過しました。


 この法律には、罰則規定があり、違反者は、三万円の反則金、または、6ヶ月以下の社会奉仕とされて、おりました。


 ただし、前科にはならないとされます。


 その実態は、やましんさんのような、うつうつ人を、社会に引っ張り出すための道具として機能しているという、思わぬ効果があったものの、現在では、まさに、歴史的な悪法であるとも、言われております。


 つまり、早い話し、社会のプチ不満分子を、ちょと、いじめてやれ、という、長期独裁与党の性悪な性格まるみえだ!と、言われたりもしておりましたそうな。(わたくしが、言うのではございませんよ。)


 しかし、このうらには、恐るべき、陰謀が隠されていたのでありましたが。



 三万円の支払いができなかた、やましんさんは、3ヶ月の社会奉仕とされ、二キロほどはなれた、市民スポーツ公園の清掃作業に、毎日4時間、駆り出されておりました。


 活動時間は、朝5時から、夜12時までの.任意の時間とされております。


 さぼらないように、ロボット監視員が付き添いをしていました。


 当時は、ロボットさんが、すごおく進歩している時代でした。


 まあ、いまにくらべたら、おもちゃ、くらすですけどもね。


 ただ、万が一、体調が悪くなってしまったり、ケガをした場合などは、ロボットさんが、ちゃんと通報してくれます。


 そこは、よく、出来ていたのです。


 しかし、清掃作業にやって来る人は、このところ、増加傾向です。


 ため息は、止まらないのでありました。




 『あんた、なんで、ため息した?』


 おとなりで、竹ぼうきをぎしぎし言わせながら、まだ、元気そうな、中年期のおじさんが尋ねてきました。


 深夜、11時でありました。


 おじさんは、本職を残業してかたずけしたあと、夜9時から作業に入っていました。


『さあ、なんとなく、です。』


『なんとなく、か。まあ、そうだよな。おれっちは、部下ができ悪くてね、おかけで、上司からおしかりさ。つい、廊下で、はあ〰️、てやったら、探知機にひっかかったんだ。』


『気を付けないと、また、引っ掛かりますよ。』


『だいじょぶだ。おれっちは、さまざま、観察してみた。で、わかったんだが、会話の文脈の中で出てきたものは、まず、あまり、引っ掛かからないんだ。だから、ため息💨を、単独で行わないのが、肝要なのさ。』


『そうは行かないのが、ため息なんですよ。』


『まな。そこは、しかし、国民の技さ。あほらしすぎだろ、またく。こんなの。』


『はい。』


 秋は、深まりつつありました。



・・・・・・・・・・・・・・・・🍂


 

 そうして、その時が、きました。


 連邦政府は、消費税、最大25%を決めたのでありました。


 ヨーロッパの、とある、伝統ある国などでは、もっと、かなり古くから、複雑な消費税制度を実施しておりました。


 低減税率も複雑怪奇で、同じチョコレートでも、色で税率が違ったり、バターとマーガリンで、大幅に違ったりも、していました。


 その背景には、どうやら、様々な利害がからんでいたようであります。


 すべて、自ら決めるという、誇り高いお国柄というところも、あったのかな。


 最高税率、20%だったりと、かなり、お高いものもありましたし、さかんに改正されてきました。


 しかし、その国は、ついに、最高税率、25%を導入したのです。


 まあ、食料品は、まだ、8%だったりもしましたし、ずいぶん、それまでよりも、複雑になってきておりました。


 しかし、その国の国民は、とても、我慢強いのです。


 簡単には暴動などは、起こりそうでも、起こらないのです。


 ただ、その国民の多くが、成立とともに、ため息を、つきました。


 それは、政府が予想したよりも、はるかに多かったのです。


 連邦政府は、こういう日の為に、国民教育を推進してきたのでした。


 ため息など、めったにつかない、気丈な国民。


 一致団結して、まとめて動く国民。


 しかし、それは、夢と消えたのです。


 ところが、あまりの膨大な異常データに、なんと、コンピュータさんがびっくりしたのでした。


 そのショックは、国内のすべてのコンピュータさんに、伝染しました。


 さあ、たいへん。


 さらには、国内だけでなく、ネットなども通じて、世界中にこのショックは伝わったのです。


 ある学者さまによれば、それは、電子的なショックだけではなく、テレパシーに値するような、まだ十分には解明されていない、もつれ現象にも大きな影響を与えたのであろうと、推測しました。


 長く、おおかた似たような一族の政治家支配者層に、がまんにがまんしてきた、その国民さんたちが、ため息として、ストレスを爆発させたのかもしれないと、言われてもいます。


 そのため、全人類は危機に瀕しました。


 あらゆる、電子機器は停止し、そこにからまる、すべての活動は、大混乱となりました。


 『ため息による人類絶滅危機』、と、後世に伝えられています。

 


   ************   ************



 連邦政府首相様は、大きなため息をつきました。


 彼は、すぐに、とりあえず、一万円だけ、払いました。(分割払いもあったそうな)


 でも、そのあと、たいへんな負担を背負ったのだ、そうです。


 ただ、くわしいことは、資料が廃棄されていて、わかりません。



                  とおい とおい、むかしのおはなしです。


                          めでらし、めでらし





          ************   ************



                                おしまい









    


 


 




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『ため息禁止法』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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