見せられない話
最初に断っておく。僕は疲れている。
僕は今日、久しぶりに時間があったのに、携帯の画面ばかり見ていた。僕はごみ箱の中で、携帯の画面ばかり、見ていた。
僕はここ数日で、また人が嫌いになった。
だから小説ノートを開いた。文章の中で人でも殺めようかと思って。
ところがこういう時、僕は人を殺せない。
僕は自分ばかり刻む。
僕の悶々とした話を読んだ事がある人なら少しはピンとくるかもしれないが、僕は言葉で自分を刻むのが好きだ。だから自分のために、死なないために文章を書くなら、言葉で自分を虐待するのが一番すっきりする。
だから書いてみた。
僕は言葉の中で僕を殴る。
汚い言葉で刺し殺す。
首を締める。
熱湯をふっかける。
だけどさ、公開ボタンは押せなかった。
僕の作った本棚には、そんな話は似合わない。わかっている。ただ自分を慰めるだけの言葉が、僕の中で文学と呼べるだろうか。
僕は誰かに見せるために文を書き始めたわけではないよ。だけどやっぱり公開するなら、人がいるということを意識せざるを得ないし、それがひとつの楽しみである事は間違いない。
だからさっきの文章の公開はやめておくよ。
ただ最近は思うように文が書けないので、そんなものを書いたという事実だけ記しておきたかった。何か書かないと僕は死んでしまうからね。
読んでくれてありがとう。知らない誰か。
それじゃあ、おやすみ。
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